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  ●京都教育センター通信 
復刊第77
 (2013.7.10発行) 
   
地域『9条の会』の到達点

          京都教育センター高校問題研究会 代表 倉原 悠一
 

 2004年6月、平和を求める日本の良心とも言える「井上ひさし、梅原 猛、大江健三郎、奥平康弘、小田 実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子」の9氏がアッピールを発表。それをうけて、全国に「九条の会」がたちあがった。

 20世紀は戦争の世紀であった。21世紀こそ平和で豊かな世界にするため、各国が力を合わせて努力しようと、これからの100年を夢見ていたところ、あの9・11が発生し、アメリカによるイラク戦争が始まり泥沼化していった。そして、現在なお、戦争の脅威は地球上に現存する。だからこそ、9氏呼びかけは「我が意を得たり」という感慨であった。

「私たちは、平和を求める世界の市民と手をつなぐために、あらためて憲法九条を激動する世界に輝かせたいと考えます。」

 私が住む長岡京市でも10小学校区すべてに「校区9条の会」ができ、それぞれのスタイルで粘り強く活動を続けてきた。

 私の小学校区は「長法寺小学校区」。有権者(20歳以上)は約6000名。過半数の3000名の賛同者をいかに作るかを論じ、規約を決め、会費を集め通信を定期的に発行してきた。現在まで8名ぐらいで世話人会議を毎月定期的に開き、活動内容を決め、実施。幸い志を同じくするメンバーは多彩で、大学の名誉教授に代表をお願いして、主として学習会を重ねてきた。歴史、労働問題、マスコミ、イスラム文化、投票法、などを文化の集いなどと重ねて実施。また無言館・碌山館・ちひろ館の3美術館を訪ねるバス旅行や、食事会、バザー、などの楽しい催しなども実施。また時には全戸配布や宣伝カーによる地域の方々への訴えなど、とにかく「継続は力なり」を信じて、楽しく知恵を絞って活動を続けてきた。活動資金は年1回ほどのバザーやカンパの訴えによりまかなってきた。会員は約180名。通信を12名のメンバーで配布。しかし、9氏呼びかけの後、すでに4名の方々が亡くなられた。我々も確実に年齢を重ねてきたが、会員はあまり増えていない。でも、いよいよ本番。憲法問題が政治の大きな課題になってきた。穏やかに粘り強く元気に地域の方々に訴えていこうと思う。

 長岡京市全体では、2007年に映画「日本の青空」の自主上映を取り組み、その後、各校区での活動交流を深めるため、校区連絡会を作り、月1回交流会を続けてきた。

 市全体の行事として、5月3日に「憲法フェスタ」を実施。西谷文和氏、早川一光氏、安斎育郎氏、中村和雄氏、井口和起氏など多彩な方々に来て頂いて講演会を実施。ちょうど良い季節で観光客も多い時期なので、講演の前には各校区の弁当やカレー、飲み物などの模擬店を出店。にぎやかに元気よく楽しく実施。

 また、12月8日の「開戦記念日」には夜キャンドルパレードを重ねてきたが、夜の交通事情が悪化してきたため、現在内容の検討に入っている。

 国民投票法では投票権は18歳からとなっている。私たちの願いをいかに高校生に届けるかを現在検討中。長岡京市には乙訓高校や西乙訓高校がある。その高校生に何とかメッセージを届けたいものである。

 憲法問題は大変重要な国民的な課題。改正内容の是非は高校生が判断することであるが、18歳の青年が十分な情報をもって投票に望めるようにすることは、未来の主権者を育てる高校として必然的に求められる責任であろう。憲法学習はぜひ高校で深めていただきたいと願っている。いざ国民投票になった時、判断できる情報が国民に与えられていることは民主主義の根本であろう。ややもすると政党選挙について学校で語られることがタブー視されているのが現状であり、国民投票についても語ることを禁じているかのような誤解がないよう切に望むものである。民主的国家のありようが求められている。

 
 
2012年京都教研「社会科」分科会報告
東日本大震災1年後、2012年3月12日から7日間連続の授業記録
−東日本大震災・津波・原子力発電を小学4年生が社会科の授業として考える(後半)−

                      上田 正文(京都市 光徳小)
 
 

2.授業の記録(続き)

【第4時】

 『3/11キッズフォトジャーナル 岩手、宮城、福島の小中学生33人が撮影した「希望」』の3回目。学習課題は「原発事故のため福島県いわき市と広島県福山市と、1000q離れてくらす小5の親友2人組。2人の文章を読んだ感想を書きましょう。」

 『ぼくは、2人組の作文をみて、東日本大震災で離ればなれになってしまってかわいそうに思います。ぼく達は、東日本大震災の影響を受けていないので、友達と離ればなれになりませんが、最初にできた友達と離ればなれになるのはすごく辛いことだと思います。ぼくは、友達とけんかして仲直りができないだけで、泣いてしまいます。でも、斗冶君と幸太君は1000q離れた場所に住んでいるのに仲がよい。友達をお互いが大切にしているのはすごいことだし、ぼくも見習いたいと思います。ふるさとの水や空気が良かったのに大震災で、水のタンクがこわれ、おいしい水に放射線があるかも知れないと、言われ、おいしい水が飲めないのは不便だと思います。ぼくはこの二人が離ればなれでも、友情が壊れることなく、より一層強くなると思いました。ぼくはこの二人にどんなに離れていても、けんかをしていても、最高の友達に「絶交」などのことばを言わないでほしいと思います。二人とも頑張って下さい!』(M君)

 『私は、二人の文章読んだら、長谷川幸太さんは、川前町川前に引っこし、友達を作って楽しくしていたのに、野中斗冶さんは広島に引っこさないといけなくなったことがとても悲しいと思いました。でも、二人が手紙などをおくりながら、話合っていることに感動しました。私もアメリカからひっこした時の、とてもいい友達お別れするのはとても悲しかった。けど手紙はよく書いて、そんなに電話はしないので、長谷川さんと野中さんはすごくいい友達みたいにすごく感じました。福島は放射線が広がっていっていることを知って、福島ではペットボトルの水しか飲めないということがとてもかわいそうだと思いました。福島の水はとてもおいしいと書いてあったので、よけいかわいそうだと思ってしまいました。わたしも福島がはやく安全になってほしいです。がんばれ福島!』(Mさん)

【第5時】

 新聞Aの記事の資料、 『原子力発電所の稼働状況 震災前と震災後』を使って。学習課題は、「日本地図に●がされている所に,原子力発電所が,あります。日本のどんな所に作られていますか。地図帳を見て考えてみましょう。また,日本に54基も作られています。今,現在に動いているのは,2基です。なぜ,ほとんどの原子力発電所は,停止しているのでしょうか。あなたの考えを書きましょう。」

 『わたしは、原子力発電所は、54基から2基しか動いてないのはなぜかな?と考えてみました。私は、こう思いました。また福島第1原子力発電所みたいに爆発するからです。だから、火力発電にしたらいいと思います。でも私の中では、風力発電がいいと思います。理由は、風で発電しているから、福島第1原発のようにならないからです。でも、自然発電や、太陽光発電もいいと思います。理由は風力発電の時と同じで、福島原子力みたいに爆発して、放射能がでないので、自然にやさしいと思います。だから原子力発電をなくして、風力発電、火力発電、水力発電、自然発電、太陽光発電にしたらいいと思います。』(Yさん)

 『僕は、原子力発電所は水を使うから、海辺の近くにあると思います。理由、海辺は都会に比べて住んでいる人の人数が少ないから、被害が少ないからだと僕は思います。ぼくは、原子力発電所が2基しか動いていない理由を考えました。理由の1つ目は、その近くに住んでいる人が発電機を止めてほしいと言ってそれで今もう1度点検してから動かすと説得して今止めているんだと思います。2つ目は、1度福島の原子力問題が一応解決になるまで様子を見ているんじゃないかなと思います。』(O君)

【第6時】

 『原発はいらない、幻冬舎ルッネサンス新書、小出裕章著』P103、M7以上の大地震が起きている場所と原発の位置を使って。学習課題は、「世界地図の中には,M7以上の大地震が100年間で起きている場所と原子力発電所●が,書かれています。世界の国々は,大地震が起こった場所に原子力発電所を作っていますか。日本は,世界中で,地震国として有名です。地図を見てわかるでしょう。なぜ,日本は,54基もの原子力発電所を作ったのでしょうか?広島と長崎に世界で唯一の被爆国なのに,あなたはこのことをどう思いますか?自分の考えを書きましょう。」

 『私は原発に反対します。それは被ばくや放射能が出たりするからです。日本は地震地帯だから、原発があったら大変なことになるから、原発には反対です。もうこれ以上原子力発電所をつくってほしくないです。日本の原子力発電を、火力、水力、風力、太陽光発電などに変えた方がいいと思います。地震国原子力発電所をつくるのはおかしいと思う。お金が儲かるだけで作ってはいけないと思う。お金じゃなく、住民や国民の命のことを考えてほしい。原子力発電所は2基しか動いていないけど、今は2基で足りているから、2基だけでいいと思う。原発反対!!』(Aさん)

 『私の考え。私は地図を見て原子力発電所が北の方に集まっている事を見つけました。考えは、お金より命が大切だと思います。理由は、人の命をおとしたら、お金で命を買えないからです。マリオやゲームの中のキャラクターだったら、やられて1つ命が減るだけです。でも人はマリオのようにいくつも命をもっているわけではありません。1つしか命はないのです。私は、過去の原子力発電所を作ろうと思った人にこう思ってほしいです。「お金で命を買えない。」』 (Wさん)

【第7時】

 『原発はいらない、幻冬舎ルネッサンス新書、小出裕章著』P193を使って。学習課題は「2009年の日本の発電の種類を円グラフに表わしたものです。火力発電の合計が,61%です。原子力発電が,29%です。大規模水力発電は,7.3%です。自然エネルギーは,2.7%です。この割合を見て,あなたは,どの発電が,いいと思いますか?下の発電設備の量と実績では,黒っぽいのは実際に発電をしている量です。薄っぽいのは,使っていない設備です。52%使っていない設備があるわけです。原子力発電をやめて自然エネルギーに変えたら,どうかという人がいます。あなたは,原子力発電,自然エネルギー,あまっている設備で発電しますか?どう思いますか,考えを書きましょう。最後に,7時間,震災の授業をした感想も書きましょう。」

 『@僕は太陽光発電がいいです。その理由は、自然で発電するわけだから、ほかの自然も壊さず、人間も快適に暮らせるからです。
A あまっている設備で発電はしません。なぜかというと、火力発電ならばCO2が出て、自然や人間を傷つける(命を奪う)ことになるからです。水力発電では、僕たち私たちが飲んでいる水も危なくなるからです。
B7時間東日本大震災の勉強をして、僕たちはテレビを見て「かわいそう」「さみしそう」「助けてあげたい」など思うだけですが、実際に体験した人(東北の人たち)はもっと怖いことが起こったと思います。』(0君)

 『ぼくは、あまっているのを全部使ってから、太陽光発電をしたらいいと思います。そのわけは、あまり人にも影響はないし、家の屋根に付けたりもできるから、太陽光発電がいいと思います。さっきも書いたけど、余っている設備(原子力発電以外)を使って発電したらいいと思います。そのわけは、せっかくいっぱい作ったのにもったいないからです。ぼくが震災の授業を受けた感想は、最初の方はあまり震災のこと(東日本大震災)の事はあまり知らなかったけど、震災の授業して、震災ことや東北の人たちの悲しさや辛さや友情などがわかった。続きは裏  省略』(T君)

 『@僕は太陽光発電を増やせばいいと思います。なぜかというと、太陽のエネルギーをソーラーパネルにしウコンで電気を作るからです。
A僕は火力発電と水力発電のあまっている設備を使えばいいと思います。
B僕は、7時間震災の勉強をして、地震や津波は怖いと思いました。人がはなればなれになったり、大きな海が真っ黒になったりします。』(H君)


3.実践を終えて


 4年生の子どもたちを1年担任して、この子たちとなら震災1年後の授業ができる、絶対にしたいという思いを持ちました。4か月の準備期間を経て、この実践が出来上がったわけです。思っていた通り、導入の教材はもとより資料にすごく食いついて来た子どもたちでした。震災1年を経て、マスメディアも特集を組んでいました。震災前後の15日間震災関係の新聞記事2紙分の切り抜きをはり、横長の模造紙にして30mになりました。驚愕。年数がたてば風化していきます。長くいろんな人たちに伝えていきたいものです。今、2年数か月が過ぎ去り、原発再稼働、他国に原発施設を売りつける等、教材化して実践の必要を感じています。


 
   
 
京都教育センター・子どもと教科書を考える合同学習会

知ろう!考えよう! 安倍政権「教育改革」のゆくえ

 
 

 はじめに愛知教育大学の石井拓児さんから「安倍政権の教育改革は、学校をどう変えようとしているのか」と題しての講演があった。

 第2次安倍政権は、これまで内閣官房に所属していた「教育再生会議」を、直接動きやすい文部科学省を担当室に「教育再生実行会議」を設置した。また経済財政諮問会議を復活させ、エリート教育への重点投資をすすめようとしている。「教育再生実行本部」の教育政策は、「平成の学制改革」「いじめ防止対策基本法の制定」「日本の伝統文化に誇りを持てる教科書を」「大学ビッグバン〜知と価値の創造」「教育行政における責任体制の確立」の5つを提起しているが、当面のねらいはいじめ対策と教育委員会制度改革で、大学改革問題が中心的政策課題となるようにみえる。我々は日本の中で新しい福祉国家をどう構想し、どう実現するかが問われていると締めくくられた。

 次に「大阪維新の会のもとでの府・市の教育行政に抗して」と題して大阪教育文化センターの山口隆さんが、「今後の教科書検定・採択制度『改革』の危険性」を京都教育センターの高橋明裕さんが報告した。その後の意見交流では、「エリート人材育成は誰のためのものか」→国民にとってメリット少なく、教育分野の民営化の道。「英語教育必要なのか」→母国語教育をきちんとしていくことが大事。「福祉国家構想とは」→国家的財政支援することと制度的に確立していくことなど活発な議論がなされた。


  あなたも気軽に参加しませんか! どなたでも参加できます!(参加費無料)
民主カウンセリング・ワークショップ
〜生き生きとした温かい人間関係をつくるために〜

7月28日(日)  10:00〜16:00 [受付 9:30〜]
◇ 場所 教育会館別館 一階奥 2号室
◇ 内容 エンカウンター・グループ

 人間中心の出会い・ふれ合いのグループ経験によって人間信頼・受容的態度・共感的理解などの集中的体験学習 を行う。
         主催:京都教育センター「家庭教育・カウンセリング研究会」
高校問題研究会 公開学習会
7月27日(土)13:00〜
会場 社会福祉会館
内容 『学校での携帯・スマホをどうするの?』 
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