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●京都教育センター通信 
復刊第44号
 (2010.5.10発行)

運動力量を強めたいですね

       立命館大学名誉教授 須田 稔(1968年度後期センター事務局長)



 先日、1960年前後の手帳をめくっていて、60年12月3日(土)2;00〜「教育基本法を守る講演会」。講師:末川博・細野武男。主催:宇治久世・綴喜・相楽・府高城南・木津」という記載を見つけた。

 その年、立命館大学総長末川先生は68歳。細野先生は同大学人文科学研究所長で48歳。 僕は満29歳と1ヵ月で、府立木津高校教諭で府高教組分会役員だった。この記載は企画案であるのか実施記録なのかが判然としない。お二人のどちらかを講師に招きたいということだったのかもしれない。

 64年4月、転身して立命館大学法学部専任講師に。手帳に「5月8日(金)10:30教育センター事務局会議」とあり、初参加だったようだ。「5月11日教育センター事務局貞広奥田藤原法律文化社」では『季刊教育運動』創刊号の収(150×1500=225,000)支(235、500)と普及状況と拡大計画、第2号増刷を協議したようだ。「事務局会議」と記載あるのは、5.15、7.3、7.17で、金曜日が定例会議日だったよう。細野先生が代表である60年6月設立の京都教育センター。「共同研究者」である奥田修三・貞広太郎両先生、同志社大学の安永武人教授、京教組教文部長藤原富造氏など錚錚たる人たちの所説に青二才の僕は傾聴するばかりだった。

 「教育の現代化・総合化・共同化」という細野先生の提起は新鮮だった。全国のあちこちから講師依頼が来て、ぼくは戦前の教育と1953年池田・ロバートソン会談での合意「教育と広報を通じて愛国心を養成する」などを、体系的に学習し語り伝える力量をつけるのに大童だった。高知の高岡郡へ講演しに行った記憶が鮮明だ。各地の教組の学習会は活発だった。貞広さんが一番頻繁に出かけたと思う。

 1967年、同和教育担当講師をめぐって、わが産業社会学部教授会が差別キャペーンの発信地だとして部落解放同盟京都府連の不当な糾弾を受けた。奥田先生が学部主事で僕が補導主事。鈴木学部長を支えて奥田先生は渦中の人になった。会議は日夜、部落問題の書籍を多読、僕は食欲も性欲もなくした。

 翌68年後期、大学で国内留学を認められた僕は、教育センター事務局長にされた。明治百年を記念する講演会、家永三郎教科書裁判支援で、京都出張尋問を防衛し成功させるべく、京大助手の村田氏や立命館大日本史の学生平井君などと準備を重ねて京都連絡会結成、僕が事務局長でこれをやり遂げた(『季刊教育運動』13号)。

 アメリカのヴェトナム侵略戦争は、65年2月7日、トンキン湾事件なるものをデッチアゲて北爆を開始するという凶暴さを深め、日本人民のヴェトナム人民支援・アメリカの帝国主義戦争反対の闘いは熱烈に高まった。アメリカ黒人の公民権運動、とりわけ63年のワシントン大行進でのキング牧師の演説「私には夢がある」に注目していた僕は、ヴェトナム戦争とアメリカ黒人の人権闘争の関わりを究明したいと論文執筆にとりかかった。と同時に、教育センター事務局員どして、ヴェトナムの教育の歴史と抗米救国闘争下の教育課題を、人民連帯の視点で日本の教師たちに伝える必要を思い、『季刊教育運動』(初回は13号。68年12月刊)に連載を始めた。

 当時、京教組委員長は校長だった水口正先生で、日本ベトナム友好協会京都府連合会の会長でもあった。70年12月、「ヴェトナム民主共和国創建25周年・南ベトナム解放民族戦線結成10周年祝賀・日本ベトナム友好協会代表団」(石井あや新日本婦人の会会長が団長で5人)の副団長として訪越の栄誉をいただいたのは、「ベトナムの教育」執筆を水口先生が評価してくださったからだ。

 全共闘暴力学生集団がわだつみ像を破壊した直後の69年5月から1年間、立命館教職員組合委員長、70年府知事選勝利を見届け、 71年後期に京都私教連初代委員長、72年3月の僕は40歳になって間なしだった。



子どもと正面から向き合って
  −「学級開き」の実践から−

           宇治市立槙島中学校 恩庄 澄



困難な2年生の担任として

リーダーを鍛える

チャンスをつかもう!

お母さんのアドバイスにも支えられ


(詳細は、京都教育センター通信44号をごらんください。)






京都教育センター事務局会議報告


                 事務局員 浅井定雄




 京都教育センターでは、定例の事務局会議を3週間に1回程度の割合で開催しています。この中では、教育をめぐる情勢の分析や、当面する教育課題、教育センター活動の具体化などが検討されています。その議論の一端をご紹介します。

◇事務局メンバー

代表:野中一也(大阪電気通信大学名誉教授)  同  :倉原悠一(元公立高校教師)
事務局長:大平 勲(元公立中学校教師)  同  :倉本頼一(立命館大学)
事務局次長:中西 潔(元公立中学校教師)  同  :高垣忠一郎(立命館大学教授)
研究委員長:築山 崇(京都府立大学教授)  同  :高橋明裕(京都教育センター)
「ひろば」編集長:西條昭男(元公立小学校教師)  同  :得丸浩一(市教組教文部長)
事務局員:浅井定雄(元公立小学校教師)  同  :長尾 修(府高教文部長)
 同  :東 辰也(京教組教文部長)  同  :中須賀ツギ子(元公立小学校教師)
 同  :市川 哲(京都教育センター)  

(以下は、4月3日、24日の議論からの一部を抜粋したものです)

教育をめぐる情勢について

@教科書検定

 文部科学省が新教科書の検定結果を発表したのを受けて、その検討が行われました。神話など新教育基本法の具体化が盛り込まれ、竹島の記載など注意しなければならない問題も多々あるとの指摘がありました。また、ページ数が大幅に増え、授業時間も増えることにより小学校でも一日5〜7時間の授業が予想されるなど、現場の多忙化と子どもの疲労がさらに進むのではないかと危惧されます。同時に採択にあたっては現場の声がほとんど反映されないシステムでになっているなどの問題があります。

A少人数学級

 また先に行われた京都府知事選において現知事は、「少人数教育」の実績を打ち出したが、制度的には京都府が国の基準の40人学級定員のままであることの問題点や、さらに民主党政権の下で教員数増加の可能性も開かれているなどの点の指摘もありました。

B全国一斉学力テスト

 そして4月20日に行われた「全国一斉学力テスト」についても検討が行われました。今回は悉皆(しっかい)調査でなくなり、35%抽出となったにも関わらず、現場では「手を上げさせられて」参加を申し込み、京都府下では80%を超える学校が参加、さらに京都市では100%参加という異常なことが行われています。そして現場では、4月の新学期に入ってから、現場では府のテスト、学校独自のテスト、全国テストなど、「テスト浸け」になってる姿が報告されました。

C児童虐待

 さらに、新聞記事などをもとに、今日の子どもたちをめぐる情勢についても話し合われ、特に「虐待」の問題が深刻化していることが報告されました。最近、マスコミでも多く取り上げられていますが、今日の社会情勢を反映した深刻な事態が生まれており、貧困が家庭崩壊や夫婦間の人間関係を破壊したり、心身の病気を引き起こしており、家庭での子育て環境が急速に悪化してきている現状が話し合われました。特にそうした事態に対して、役所、児童相談所、学校、保育所などが事態把握と対応、家庭支援に有効な手立てが打てていないし、それを保障する体制そのものが崩されていっていることが大きな問題として指摘されました。

D高校問題

 高校通学圏の再編が行われ、また大学入試によって高校をランク付けする動きが強まる中、高校生や父母の声を反映した高校教育をどのように実現するのか、突っ込んだ議論が行われました。私学においても大学の附属化(系列化)が進んでいる問題や、各校で「進学実績を上げる」ために、どのような状況にあるのかが報告されました。また、我々の目指す高校教育のあり方についても議論が交わされました。

◇当面するセンター行事の取り組み

 京都教育センターでは、当面次のような取り組みを企画しています。事務局会議では、各研究会活動の報告とともに、それらの取り組みについても話し合われました。

〇5月8日(土)14:00~ 生活指導研究会例会        (中学校実践)センター室

〇5月12日(水)「ひろば」編集会議

〇5月15日(土)10:00~ 事務局会議

〇5月15日(土)14:00~ 発達問題研究会例会

〇5月23日(日)10:00~ 民主教育推進委員会         山本由美氏講演(午後)

〇6月 5日(土)10:00~ 事務局会議
新刊紹介
教育センター室でも扱っています

『思春期のゆらぎと不登校支援 U子ども・親・教師のつながり方』

 春日井敏之 著    ミネルヴァ書房  二八〇〇円+税

 U認め合う居場所とつながりの実感を  思春期・青年期の自己形成と支援のあり方、臨床教育の視点から双方にとっての支援の意味を問う。

『水源の里 綾部で文化を紡ぐ U中学生からの 地・生・輝 づくり』

吉田武彦 著     ウィンかもがわ 一五〇〇円+税

 地域の人々が支える学校、地域のにない手が育つ学校づくり。過疎の農山村地域で取り組んだ、未来に生きる豊かな学び。

『京都山科 音羽・大塚・音羽川 二千年の歩み』

       鏡山次郎 著     つむぎ出版 二五〇〇円(税込)

 ふるさと山科の二千年/中世の山科七郷と自治の伝統/音羽地域の二千年/幕末の山科史/四ノ宮地域の二千年/山科における戦争の爪痕を訪ねて/四ノ宮におけるまちづくり住民運動 他


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