事務局   2014年度年報目次

第2部 教育センターと各研究会の年間活動
家庭教育・民主カウンセリング研究会 2014年度活動のまとめ

                原木とし子(家庭教育・民主カウンセリング研究会事務局)

 

1.2014年度のまとめ

 今、私たちは戦争への道を許すのか、平和な日本を未来に生きる子どもたち・青年に手渡すのかのせめぎあいの中に生きているといえるのではないでしょうか。極右政権が民意を踏みにじり暴走する中、子どもたちは過酷な競争と管理の教育の下で、子どもらしく伸び伸びと成長・発達する権利を奪われています。格差拡大の中で若者が将来を展望することが極めて難しくなっており、世代を超えて命や暮らしへの不安が深刻さを増し、精神的疾患の増大が社会病理現象として顕著化しています。

 このような状況の中で、『人間の尊厳を守るまっとうな社会』を求める社会的な連帯とともに、『一人ひとりの生命力・成長力がより生き生きと発現するような人間関係』をいかに築いていくかが問われています。当研究会ではそのことを理論的に学びつつ、実生活の体験と結びつけ自己理解や相互理解を深める研究会活動に取り組んできました。

 2014年度も、7月の公開研究会と12月の研究集会の分科会で「学校・職場・地域・家庭でよりよい人間関係をどう築いていくのか」をテーマに、2回のエンカウンター・グループを開催しました。1日だけのグループ体験ですが、初めて参加された方も含めて、その日集まったメンバーで創りあげられる非日常の空間と時間の中に身を置いて、その時その時の新鮮な気持ちの交流を体験してきました。「自分が否定されることなく、温かい雰囲気の中で話せて、あぁ、人に受け入れてもらえるというのはこういうことなのか、と実感できました。」という感想を述べられる方もおられ、改めて、自他ともに尊重し合うエンカウンター・グループの意義を確認することができました。 親と子の関係をはじめ、家族や自分の身近な人とのよりよい関係はあらゆる生活や生き方の基盤となるものです。職場や地域などの生活の場において、相手を尊重すること、自分の気持ちも大切にすることの大切さについて、その経験が語られました。受容的、共感的な雰囲気のグループの場で思い切って自分を表現してみること・他者の声に耳を傾けることで、新たな自分への気づきが生まれ、生きる勇気やエネルギーを得て、自分の課題解決に向かう成長力が育まれる場となりました。

* 定例の研究活動として、グループカウンセリングと理論研究を定期的に開いてきました。第2金曜日に行っているグループカウンセリングは11回(毎回5〜11人、延べ48人参加)、第4金曜日に行っている理論研究会は9回(毎回6〜11人、延べ46人参加)持つことができました。日々の生活の中で抱える個々の悩みや、その時々に気づいたことを出し合い、聞きあってゆったりとした時間の中で学びを深めてきました。

* 個人カウンセリングは本会員のカウンセラー(1人)が73回実施してきました。カウンセリングの要望が継続的にあり、毎週金曜日に当センター室を利用させていただき定着した活動が続けられています。今後も市民に開かれた個人カウンセリングの場を提供していきたいと考えています。


2.活動の経過

 第1金曜日  個人カウンセリング
 第2金曜日  グループカウンセリング・個人カウンセリング
 第3金曜日  個人カウンセリング
 第4金曜日  理論研究会・個人カウンセリング
 第5金曜日  個人カウンセリング

 理論研究会では昨年に引き続き「自己カウンセリングとアサーションのすすめ」(平木典子著 金子書房)を読み進めながら、自分との付き合い方、自己表現の仕方、自分も相手も大切にするかかわり方を学んでいます。

 また、「親と子の教育センター」とも有機的に連携し、教育センターや教職員組合の研究集会にも参加してきました。


3.2015年度の活動方針

 現在の社会は「人間尊重」の理念を真っ向から否定する成果主義と競争原理が乱暴に持ち込まれ、私たちを深く傷つけ苦しめています。故西光先生(前本会会長・龍谷大学名誉教授)は「人間は相互に人間として尊重しあう関係の中に生きるとき、人間の尊厳にふさわしい人間らしい生き方ができる」と述べられています。また、カール・ロジャーズは「静かなる革命」を進行させる必要性を説いています。「他者の人格、もしくは人間性を無視し一方的な操作や権力的な強制によって相手を変えようとする考え方や態度が社会の隅々にまで浸透している。それを根底から覆すという意味で「人間中心アプローチ」は根本的・革命的なのだ」と。

 「カウンセリング」や「心の問題」を狭い心理主義的な枠内に閉じ込めるのではなく、今を生きる自分が自らの尊厳に気づき、自分の人生を力強く生き抜く「人間の成長力」を育む営みとして捉えていきたいと考えています。社会との関わりもきちんと視野に入れ、人と人との心のつながり、相互理解、お互いに育ちあう人間関係を深めていくために、当研究会が役に立ち力を発揮できるように今年度も活動を進めていきます。


4.2015年度の研究会体制

・代表者   勝見哲万
・副代表者  山下正子
・事務局   芦田幸子 原木とし子 光木和子 村井久代 山本敏恵
・会員    安東智子 梅澤博子 片畑和子 庄田節子 平本喜美代 松村一樹 安本俊昭
 
 「京都教育センター年報(27号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(27号)」冊子をごらんください。

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              2015年3月発行
京都教育センター