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地方教育行政研究会 《2011年度活動のまとめ》 葉狩宅也(地方教育行政研究会事務局) |
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1.地方教育行政研究会・京教組合同学習会としての活動 2000年度から始まった京都教職員組合との「合同学習会」は今年で13年目を迎える。「合同学習会」を含む研究会活動では、広く、深く子どもたちと教育にダメージを与えている新自由主義と国家主義を批判し、その対抗軸を明らかにすること、そして子どもの学習権を具体的に保障する教育条件整備に向けた理論と運動を励ますことを今年も課題としてきた。 今年度4月から小学校の新学習指導要領が本格実施をスタートし、文部科学行政は引き続き「改悪教育基本法の具体化」路線を推進する立場でのぞもうとしている。それらを的確に批判しつつ、私たちがめざすべき教育・学校づくりの展望を指し示すことを交流することを意図して、第1回の学習会では、@この間、全教・京教組が開催してきた「学校づくり・教育課程づくり」の論議に学び、吸収する。A京都府下での「学校づくり・教育課程づくり」の実践から学び交流した。 第2回学習会では、中学校社会科の教科書採択をめぐっての「不可解」とも言える教育委員会の動き、高校の統廃合や制度改革の動きなど、新自由主義的教育改革の具体化が多くの弊害を招いている実態を批判検討するために、@国のすすめる「教育改革」の現局面や教育行政の動向を批判的に学習する。A今後の教育委員会制度や学校・地域と教育行政の関係をどう展望していくのか検討する。B私たちがどのように運動や実践を展開していくべきなのか交流した。 第3回学習会は、東日本大震災がおこってから3ヶ月が過ぎようとしている時期に、被災地域の人々に多くの困難をもたらしたままの状況と、被災地救援と復興をすすめる動きの報告等を受けた。国や地方行政がどのような姿勢で政治を進めていくか注視しつつ、発言し行動することが大切になる事を考え、@復興にむけた論議や行動を前進・充実させていくために、多面的に実態や動向を捉える。Aボランティアや支援として現地を訪れた経験から、復興にむけた課題を考え合う。B京都府内の学校耐震化の状況を分析し、私たちの足下の課題を明らかにする事を確認した。 この間、大阪では「国歌斉唱起立強制条例」の強行に続き、大阪維新の会府議会議員団は9月21日「教育基本条例案」と「職員基本条例案」を府議会に提出した。「教育基本条例案」は、「君が代」の強制と徹底した競争を持ち込み、知事が府立高校の教育目標を定めるなど、政治が教育に全面的に介入し、処分と免職の脅しで、教職員管理を徹底するなど、教育の政治支配をすすめ、公教育を破壊するものだと言える。そうした情勢のもと第4回学習会では、@大阪府の「教育基本条例」の狙いと問題点を学習すること。A「京都市の教育」をはじめ、教育行政の課題や問題点、および首長の権限と教育委員会制度について検証した。 第5回学習会は、別掲載の分科会まとめに記述したが、そうした課題に適切に向き合えるような学習・研究活動を意識して取り組んできた1年間であったと言える。 2.2011年度の合同学習会の報告 ■ 第1回 3月12日(土) 教育文化センター203号室 司会:葉狩 □テーマ 「学校ごとにつくる教育課程」とは ―新学習指導要領本格実施前に学校づくりの課題を考えるー 13:40 報告:「学習指導要領にしばられない『子ども・父母・教職員のための学校をデザインする』―学校独自の『教育課程検討委員会』を作ろう−」・・・得丸 浩一氏(京都市教組) 14:15 講演:「改訂学習指導要領のもとでの学校づくり・教育課程づくりの今日的課題」・・・植田 健男氏(名古屋大学大学院教授) 15:35 報告:「子どもの実態に合わせた学校づくりを」・・・谷隆次氏(宇治市 平盛小学校) 報告:「教職員の論議を大切にする学校づくり」・・・谷口彰子さん(京田辺市 三山木小学校) 【参加】27人 ■ 第2回 5月28日(土) 教育文化センター203号室 司会:大西 □テーマ 「教育行政は学校・教職員の声を生かしているか」 −「教育改革」の検証とこれからの学校・教育行政- 13:40 報告@:「教科書問題を通して考える日本の侵略戦争と歴史和解」…大八木賢治氏(元京都市中学校教員) 14:10 講演:「『教育改革』と教育行政」・・・講師:中田 康彦 氏(一橋大学教授) 16:00 報告A:「変化しつつある府の教育施策・教育行政」・・・京都府職労教育支部 16:25 閉会あいさつ・・・野中代表 【参加】23人 ■ 第3回 7月2日(土) 教育文化センター101号室 司会:葉狩 □テーマ:「東日本大震災の復興にむけて−自治体・学校・政治の役割−」 13:45 講演:「東日本大震災の復興にむけて−自治体・学校・政治の役割−」・・・講師:森 裕之 氏(立命館大学教授) 15:20 報告@:「東日本大震災から3ヶ月半の被災地の現状と課題」・・・梶川憲氏(京都総評事務局長) 報告A:「学校耐震化の状況は?」・・・成宮 真理子 さん(京都府会議員) 特別報告「仙台市の学校の様子」・・・寒川 正晴 氏(京都市教組) 報告・討論/森氏のコメント 16:45 閉会あいさつ・・・本田久美子さん(京都教育センター) 【参加】:33人 ■ 地方教育行政研拡大事務局学習会 9月18日(日) 15:30〜 京教組会議室 参加:6人 □テーマ:「『子どもの貧困』を足下からとらえ直す」 仙田富久さん(スクールソーシャルワーカー・児童福祉司)の報告と意見交換 ■ 第4回 11月6日(日) 「かもがわ」 司会:我妻 □テーマ:「大阪『教育基本条例』の狙いと問題点 13:15 講演「大阪府の教育基本条例(案)の狙いと問題点」・・・講師:丹羽徹氏(大阪経済法科大学教授) 15:10 報告「トップダウン&問答無用の京都市の教育行政」・・・細田 俊史氏(京都市教組教文部長) 15:55 京都府内の教育行政の課題と問題点について、意見交換 市高(山上)、市教組(奥村)、市会議員(くら田)、京教組(相模)、日高教(佐古田)、保護者(岡部) 16:30 まとめと閉会あいさつ・・・市川 哲氏(研究会代表) 【参加】27人 ■ 第5回 12月25日(日)教育文化センター101号室 司会・進行:大西/田中 (第42回京都教育センター研究集会2日目 第1分科会 「地方教育行政研究会」) □テーマ 『子どもの貧困』と食・健康・子育て―子どもをとりまく実態と求められる実践・運動― 10:00 開会あいさつ 基調報告…葉狩 宅也氏(「研究会」事務局長) 10:30 特別報告:「子どもの貧困」の実態と就学援助制度・・・奥村久美子さん(京教組事務職員部) 13:00 報告と質疑・応答、議論 報告@「食をめぐる子どもの実態と学校給食」・・・木村啓子さん(八幡小学校 栄養教諭) 報告A「保健室から見える子どもの実態」・・・宇野和代さん(府立城陽高校 養護教諭) 報告B「社会の影響を受けやすい子どもたちと向き合う」・・・水野勇氏(平盛小学校 教諭) 報告C「高校卒業生の働く現場から見えてくること」・・・原田久さん(府立高教組) 15:45 まとめと閉会あいさつ・・・市川 哲氏(「研究会」代表) 16:00 終了 【参加】18人 ■ 地方教育行政研後援 8月28日(日) 教育講演会「学校統廃合と小中一貫教育」 福知山市民会館 司会:杉本(福知山教育ネット) 相模(京教組) □ テーマ 〜小規模校のよさと子育て・地域づくりを考える〜「学校統廃合と小中一貫教育」 13:15 講演「学校統廃合と小中一貫教育」講師:山本 由美先生(和光大学) 15:00 各地域の「学校統廃合」のとりくみや子どもと教育を守るとりくみの報告 ●京丹後市 ●伊根町 ●福知山(佐賀の教育を考える会、福知山教育ネット)●京丹波町 15:40 山本由美先生のコメント 15:50 閉会あいさつ・・・安達 忠志氏(福知山教育ネット代表世話人) 【参加】計83人 3.2012年度研究活動の方針 橋下・「大阪維新の会」がすすめようとしている、「大阪府教育基本条例」をはじめとした教育政策は、この20年間の日本社会が受けてきた新自由主義を基調とする諸制度改革の延長に位置づく。新自由主義教育改革が、学校・教職員にもたらしてきた多くの弊害は、子どもや保護者に対して「不利益」や「困難」をもたらす結果にもなっている。新自由主義的傾向は強くなることはあっても弱まることはない現局面を、様々な角度から批判的に学習することと、それらに対してどのような実践や運動を進めてきているのかを交流することは、ますます必要な情勢だと言える。 そこで、2012年の研究活動のメインテーマは昨年に引き続き、「具体化する新自由主義とどうたたかうか」とし、この間の研究を継続発展させる内容で取り組みたい。 今年度も研究会活動の中心に京都教職員組合との「合同学習会」を位置づける。これは組合員だけではなく、誰でも参加できる開かれた学習会であり、そのため広くビラ・インターネット等を通じて学習会の内容や研究成果を知らせていきたい。 研究課題としては、 1.新自由主義の具体化とのたたかい @教員政策に表われる新自由主義とたたかいの方向−教員評価、研修、免許更新制− A学校〜行政の関係に表れる新自由主義とのたたかい−学校と教育行政、教育委員会のあり方− B子どもの学習権と新自由主義−貧困とのたたかいと学習権保障− C新自由主義による学校政策のもとでの子ども、親、住民、学校の共同−新自由主義的な「学校づくり」をのりこえる教育運動を展望する− D新自由主義と教育運動−われわれが情勢を切りひらく方向を考える− 教育研究者とともに、政治学、経済学、法学などの研究者に講師依頼して、専門的な立場から分析していただく。 2.当面する教育政策を分析して、実践・運動に生かす @“貧困と子どもの教育”や“教育費政策の貧困” 「現状分析」〜「貧困を生み出す社会背景」〜「社会的平等(平準化)と学校(教育)」〜「教育運動と社会運動の結合」 など A“政治と教育” “震災、原発問題をめぐる国政と地方自治” 「民主党政権からの揺れ戻し」〜「新自由主義教育改革路線の継続」 〜「橋下・大阪維新の会の府議会条例化と教育行政」 B“教育振興基本計画”や“土曜活用問題” 「第1期(08年7月〜12年)の中間的批判検討」〜「第2期(13年〜17年)に向けた中教審の論議と地方教育行政の先取り的動きの批判検討」 C“学校教育実践・教育内容への介入やおしつけと多忙化” 「新学習指導要領・教科書をめぐって」〜「学力テストの動向」〜「学校評価」 D“教職員定数・配置と学級定数” 「小学校専科教員」〜「加配教員の採用と位置づけ(非常勤、ボランティア)」〜「少人数学級(30人学級)」〜「青年教職員の増加と定年延長について」 E“教員免許更新制の廃止と研修制度” 「更新制実施から3年目」〜「廃止(改正?)への見通し」〜「京都府や各自治体ごとの研修の実態と問題点」〜「のぞむべき研修のあり方と実践」 F“(幼)小中(高大)一貫教育と統廃合” 京都府下ですすめられている「小中一貫教育」 また、事務局体制をさらに強化しつつ、継続的に研究を推進していくことを意識的に取り組みたい。 4.研究会員と体制 代表者 市川 哲 事務局 葉狩宅也、大西真樹男、奥村久美子、新谷 剛、田中正浩、我妻秀範 会員 東 辰也、新井秀明、磯村篤範、井上英之、射場 隆、植田健男、大前哲彦、大和田弘、梶川 憲、佐野正彦、末富 芳、竹山幸夫、野中一也、藤本敦夫、柳ケ瀬孝三、山本重雄、吉岡真佐樹、淀川雅也、 |
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