事務局   2011年度年報もくじ

家庭教育・民主カウンセリング研究会

《2011年度活動のまとめ》
                  光木和子(家庭教育・民主カウンセリング研究会事務局)

 
1.2011年度のまとめ
 
 昨年の一年を表す漢字として選ばれたのは「絆」でした。人と人が結ばれる絆がどれだけ大切なものか、多くの人が身にしみて感じた年でした。

 3・11の東日本大震災をはじめ国内外で天災の被害が多発し、社会生活に多大な影響を及ぼしました。人類が築いてきた物質文明を瞬時にして叩きのめす自然の脅威に、人類の持てる力の限界を改めて認識させられる現象でした。

 日本の経済への影響も大きく、景気の低迷が続き、雇用情勢の悪化、医療・福祉・教育の分野での貧困化もますます進んでいます。

 けれどもこのような状況だからこそ、今まで見失っていたものに気づかされ、大事にすべきことに向かって、新たな歩みを始める人もふえてきたように思います。

 経済成長が最優先されて、効率の良さ・利便性が追求されるシステムが猛スピードで進められた中でさまざまな矛盾・問題が生じてきて、一人一人の人間性が尊重される社会に変革していかねばならないという動きも広まってきています。

 こんな状況だからこそ、人と人とのつながりの大切さ、お互いに育ち合う人間関係を作るカウンセリングの必要性は高まってきていると言えます。

 当研究会では、7月の公開研究会と12月の研究集会の分科会で、「学校・職場・地域・家庭でよりよい人間関係をどう築いていくのか」をテーマに、二度のエンカウンター・グループを開催しました。1日だけのグループですが、初めて体験される方も含めて、その日集まったメンバーで創り上げられる非日常の空間に身を置いて、そのときそのときの新鮮な気持ちの交流を体験してきました。そこでも「絆」の大切さ、「絆」の持つ力を再認識したという感想が出されました。

 わが子との関係、自分の親・兄弟との関係は、日々生きる力に直結するものでありながら次々に難題を持ちかけてくる厄介な代物でもあります。職場や地域での生活においても、人間関係がスムーズにいかずトラブルが起きたり悩みを抱えたりする経験も出されました。エンカウンター・グループの場で出すことによって、新たに気づいたり励ましをもらったり、自分の中に課題の解決に向かう力が生まれてくる場にもなりました。

 また定例の研究会として、グループ・カウンセリングと理論研究会を定期的に開いてきました。第2金曜日に行っているグループ・カウンセリングは11回、第4金曜日に行っている理論研究会は8回持ちました。日常生活の中で抱える個々の悩みや問題を出し合い聴き合って、ゆったりした時間を過ごしています。

 個人カウンセリングは2名のカウンセラーで、延べ140人実施しました。毎週金曜日にセンター室を利用させていただき定着した活動が続けられています。


 
 
2.活動の経過
 
 第1金曜日  個人カウンセリング
 第2金曜日  グループ・カウンセリングと個人カウンセリング
 第3金曜日  個人カウンセリング
 第4金曜日  理論研究会と個人カウンセリング 

 理論研究会では、昨年度に続きロジャーズ全集の中から「人間関係論」(畠瀬稔 編訳)の第1部、「いかにして援助的関係をつくるか」を学習しています。単に理論の学習だけでなく、参加者の体験と結びつけ思いを共有しながら、ゆっくり時間をかけて進めています。

 また、「親と子の教育センター」とも有機的に連携し、教育センターや教職員組合の研究集会に参加したり、「不登校の子を持つ親の会」にも参加するなどして活動を多方面に広げていくようにしています。


 
3.2012年度の活動方針
 
 
 東日本大震災を機に、人と人のつながりを大事にする社会を作ろう、力を合わせて苦難を乗り越えていこうとする機運は高まっていますが、貧困や格差を生み出す社会構造は、改善されるどころかより激しく進められようとしています。子どもも青年もそして大人も「生きづらさ」を感じながら生きています。効率化、利便性を追求する社会に自分を無理やり適合させようとして、子どもも大人も「自己肯定感」・自分の存在そのものが承認され許されているという実感を持ちにくくなっています。そして孤立感を深めたり人間不信に陥ったりして、悲惨な事件のニュースも他人事と思えない、誰しもわが身に起こりうると考えられる状況があります。

 けれどもその反面、人と人とのつながりから受ける暖かさに心を満たされる経験も大事にされ、人間関係を豊かなものにしていこうとする思いも強まっていると言えます。教育や福祉、医療など弱者に厳しい施策が進められて、生活が苦しくなる一方で、人間性を取り戻そうというやむにやまれぬ欲求が、今まで以上に人々の心を結びつける可能性が広がっています。

 人と人との心のつながり、お互いに育ち合う人間関係をますます深めていくために、当研究会が役に立ち力を発揮できるように今年度も活動を進めていきます。
 
4.2012年度の研究会体制
 
 
・代表者   勝見哲万      ・副代表者  山下正子
・事務局   芦田幸子 梅澤博子 庄田節子 原木とし子 平本喜美代 光木和子
・会員    安東智子 片畑和子 佐敷光太郎 松村一樹 村井久代 安本俊昭 山本敏恵
 

 「京都教育センター年報(24号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(24号)」冊子をごらんください。

事務局   2011年度年報もくじ
              2012年3月
京都教育センター