事務局   2011年度年報もくじ

京都教育センター 年報24号(2011年度)

「京都教育センター2011年度の活動報告
            京都教育センター事務局長  大平 勲



T.活動の指針

(1)〈基本〉50年の節目を経て、改めてセンター設立の理念を想起しながら、今日の新自由主義による教育改革の問題点と矛盾を明らかにし、新たな教育のあるべき方向を提起していく。

(2)センター設立の経緯と理念を再学習する。

(3)学習指導要領の全面実施(小)、移行実施(中)にあたり次の課題にとりくむ。

@    小学校学習指導と学習評価のあり方を検討し提起する

A    中学校教科書の内容検証と公正で民主的な採択のとりくみを共同してすすめる

B    教育課程編成と結びついた学校づくりをすすめるための指針を提起する

(4)京都における高校教育の課題を検討し、提起する

(5)地域と教育の関わりを検討し提起する(地域での子育て運動、子ども・父母・教職員をつなぐ)

(6)各研究会のあゆみを総括し発展させることをテーマとした研究討議の推進

(7)各研究会の主体性を堅持しつつ、事務局として位置づける公開研究会(重点課題)にとりくむ

(8)事務局体制の強化と会議・学習会の充実を図る。実務遂行の事務局体制を強化する。

U.活動報告           

1.第42回京都教育センター研究集会

・「3・11」の震災・原発問題を課題として12月24日(土)〜25日(日)〈教文センター〉の二日間開催しました。

・『3.11
子どものいのちと教育』をテーマにして、全体集会では、安斎育郎氏(安斎科学・平和事務所長)をお迎えし、「原発・放射能問題と真理・真実」と題した記念講演を行いました。

講演に先立つパネルトークでは、大貫昭子さん(福島県立原町高校)、澤田季江さん(新婦人府本部)をパネラーに本田久美子さん(教育センター)進行のもとに「福島の現状からいのちと教育を考える」討論を展開しました。 〈講演、パネルトークの記録は別項参照〉

全体集会の参加者は121人と昨年の記念集会に匹敵する近年最高の参加数で、焦眉のテーマへの関心の高さを伺わせました。特に例年に比して現職教職員の参加が増え(52人)、京教組としてのとりくむ構えが反映されましたが、他団体や他府県からの参加は市長選などのとりくみとも競合し予想を下回りました。

・二日目の分科会は8会場で開催され、発達問題研は独自開催出来ませんでしたが、今回から「障害児教育センター」が主管する分科会がもたれました。

 分科会の参加者は132人(昨年121人)と近年では最多の参加数になりました。分科会ごとでは10人〜30人のばらつきが見られるものの、ここでも現職教職員の参加が51人と例年を上回ったことは特筆すべきことでした。なお二日間の完全参加者は56人でした。

福島の子どもと学校への「復興支援カンパ」が会場で約10万円集約され、大貫さんに託しました。

  一日目の夜に恒例の「交流懇親会」を教文センター1Fで開催し、23人の参加で大貫さんを中心に交流を深めました。

  協賛企画として同時開催された「文化と絵画展」にも多くのセンター研参加者が合間を縫って観賞しました。

2.公開研究会の開催

 事務局が各研究会とリンクして企画準備した公開研究会についてその概略は以下の通り。

(1)「中学生からの『地・生・域』づくり:吉田武彦さん」(発達研)6月25日12人


(2)「国語の基礎・基本的な学力とは:西條昭男さん」(学力研)   7月3日 14人

(3)「授業料無償化で京都の高校は:長尾修さん」(高問研)   7月18日 24人

(4)「エンカウンター方式でのカウンセリング」(カウンセリング研)7月24日17人

(5)「子どもの発達と地域活動:棚橋啓一さん」(地域研)       9月25日 10人

(6)「不登校・ひきこもりに相談者としてどう立ち向かうか:高垣忠一郎さん」

10月10日 53人

*この企画については「民主カウンセリング研:庄田さん」「登校拒否・不登校を考える連絡会:林さん」「教育相談者:倉本さん」の3者と高垣さん、大平事務局長で3回の打ち合わせを経て実施されました。 〈高垣講演の要旨は別項参照〉

(6)「子どもの発達と地域活動:棚橋啓一さん」(地域研)     9月25日 10人

(7)「高校生に明日につながる学習をとりもどす:中井秀樹さん」(生指研)

11月26日 14人

3.教育研究集会・民教委などへの参加

  第61次京都教育研究集会(「教育のつどい2011」)(11/19〜20:同志社大新町学舎)には共同研究者として二日間でのべ58人が参加し各分科会での任務を果たしました。しかし、「外国語」「技術・家庭」「幼年教育」「文化」の分科会には未配置となりました。

  民主教育推進委員会には29人(5/22)、28人(9/10)、27人(11/12)が参加しました。

  8月の「全国教育のつどい(千葉)」、12月の「全国民研集会」にも代表参加し、大阪教文センターとの意見交流も行いました。(6/27)

4.教育共同のとりくみ

(1)教科書採択問題

 中学校教科書採択に関わって、とりわけ「歴史」「公民」教科書で歪んだ歴史観で編集された「育鵬社」「新自由社」の採択を許さないとりくみを「教科書連絡会議」(3月以来18回)に結集して展開しました。これらの採択を執拗に迫る反動勢力に抗しての府市教委への申し入れ、署名文書・ハガキ、議会傍聴、街頭宣伝、学習会などにも可能な限り参画しました。

 また、センター独自に教育関係者への「2社の採択に反対する緊急アピール」賛同をよびかけ、僅か一週間で約70人の賛同を得て、焦点になった京都市教委に届けました。〈アピール文、賛同者名簿などは別項参照〉

 結果、全国的には「育鵬社」版が大幅増の採択が見られましたが、京都では6つのどの採択区でも他社の教科書が採択されました。このとりくみを通して、原発・放射能記述や採択制度の民主化、閲覧機会の拡大などの問題点が明らかになり今後の課題となりました。

(2)「教育・子育てネットワーク」など

 京都市教組が主管するこのとりくみに可能な限り参加し、毎月の例会・学習会には教育センターのとりくみを啓発するとともに、他団体のとりくみから学びました。また、給食食材の放射能安全検査を求めて京都市などへの申し入れにも参加しました。

 その他、「教育府民会議」「会館内教文会議」にも参加し、大阪での異常な「教育条例」の制定を許さない運動にもとりくみました。

5.季刊誌「ひろば・京都の教育」の発刊

・166号(5/18)  @おもしろいけど疲れる日々−今、実践に生きる
                 A部活動を考える−その現状と課題
・167号 (8/8)  @震災・原発と教育   A中学校教科書問題
・168号(11/9) @安全で豊かな「食」と子どもの育ちA京都市の教育を糺す
・169号(2/15) @地域で育つ子どもたち  A青年期の学びと生き方 

※各号の特集や執筆者を検討する編集会議(西條、倉本、本田、大平)を4回開きました。

 定期購読者は約1000人近くを維持しているものの、退職に伴って購読を中止される方が増え、減誌分を上回る拡大を現職教職員を中心に薦めることが課題となっています。

6.「センター通信」の発行

 復刊6年目に入り、教育研究や実践の自由が大幅に制約されてきているもとで、掲載された実践報告は読者に感銘を与え、楽しみにしている組合員などが増えてきています。

 1年前に編集過程での問題を起こし、関係者などに迷惑をかけた反省に立って今年度は精査した編集を心がけ月刊での発行を続けました。

 地域や経験年数などを考慮した幅広い実践者の執筆が課題となっています。

〈2011年度執筆者一覧〉

53号 

土肥信雄/戸谷嘉之(宇中)

58号 

藤原ひろ子/藤原ひろ子

54号 

大八木賢治/市川章人(府高)

59号 

得丸浩一/掘 信子(市小)

55号 

本田久美子/市川章人(府高)

60号 

清水和代/安斎講演

56号 

林 敬子/吉田武彦(福中)

61号 

大平 勲/澤田 樹(市中)

57号  関口久志/細田俊史(市小)  62号  倉本頼一/松元若菜(市小) 

7.出版活動

(1)50周年記念誌「風雨強けれど光り輝く」は各支部教組などの協力で一定の販売普及をみているものの、残部数の普及に一層努めなければなりません。

(2)一昨秋刊行した早川幸生著「京都歴史たまてばこ」(「ひろば」連載)も書店での普及があるが残本の普及に努めます。

 *現在、京教組などと共同して「原発・放射能」テキストの作成にとりくんでいます。

8.研究活動

 「障害児教育センター」を新たに加えた9つの研究会がそれぞれ独自に研究活動を展開しています。年間3回の拡大事務局会議でそれぞれの報告と交流を行いました。

9.H.P.の更新と資料室の整備・活用

 2004年1月に開設されたH.P.は担当者の都合により更新が遅れがちになりましたが、閲覧は一定のペースですすんでいます。

 また、関係者の尽力により資料室の整備がすすみ、若手研究者グループや卒論・ゼミなどの資料検索、閲覧に全国から研究者・学生が訪れています。

10.事務局会議

 
事務局会議は(15人構成)は毎月2回(第2、第4土曜日)のペースで下記の日程で22回開催され(平均出席率約80%)、企画検討会議(月一回:野中、築山、大平)も12回開催されました。

@    4/9(12人),A4/23(10人),B5/14(11人),C5/28(11人)D6/11(10人),E6/25(12人),F7/9(12人),G7/26(15人),H8/13(9人),I8/26(15人)J9/10(13人)K9/24(9人)L10/15(10人)M11/12(12人)N11/26(12人)O12/10(10人)P1/14(11人)Q1/28(9人)R2/12(10人)S2/25213/10 223/24

・今年度から第4土曜日を「学習会」と位置づけ9回実施しました。

4/23:「学校現場レポート」浅井定雄   
5/28:「ひろばの改善」西條昭男

6/25:「センター設立の経緯」山本正行
7/23:「原発と教育」小野英喜
8/26:「センター提起の三原則」野中一也
9/24:「土曜活用問題」築山 崇

10/15:「評価問題」野中一也
1/28:「京都市の教育」本田久美子

2/25:「京都の高校制度」長尾 修 


  各研究会事務局担当も加わった「拡大事務局会議」は次の日程で3回開催され、各研究会のセンター研企画やとりくみ交流を中心に議論しました。

  @9/24(13人) A11/26(17人) B3/24(予定)

  とりくみや集会、「ひろば」「センター通信」発行などの企画、準備、運営、編集などにあたっては事務局長の負担が大きく実務体制を強化する必要があります。

  元事務局メンバーの藤原義隆さんが7月に逝去され、11月20日に京都民教連、学力研、教科研などとともに「偲ぶ会」(29人参加)を行いました。

11.事務局体制

代表:野中一也
研究委員長:築山 崇
「ひろば」編集長:西條昭男
事務局長:大平 勲
事務局員: 高垣忠一郎  市川 哲  倉本頼一  高橋明裕 中須賀ツギ子 倉原悠一  浅井定雄  中西潔  本田久美子  相模光弘  細田俊史  長尾 修

 「京都教育センター年報(24号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(24号)」冊子をごらんください。

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              2012年3月
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