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京都教育センター 年報24号(2011年度)

 -- あいさつ --

「いのち」を育む地域を意識し、地域に根ざした教育を!

                京都教育センター代表 野中 一也


 「3.11」の東日本大震災と福島原発「事故」の映像は、消えることなく鮮明に記憶に残り、悲しみと怒りを増幅しています。余り意識することなく地域に根ざして生活してきた「日常」が、一瞬にして想像できない「非日常」になってしまった現実を、「感性に裏づけられた理性」(辻井喬)で大きな課題として受け止めていかなければならないと思います。


 2011年度の京都教育センターの研究集会は、12月24,25日に開催され、その集会テーマは、「3.11 子どものいのちと教育」となりました。その研究集会の豊かな内容については、この年報を参照してほしいと思います。

 野田内閣は、「3.11」を忘れたかのように「復興」と称して、自・公政権以上に国民泣かせの対米従属・財界奉仕の悪政を進めています。保守支配層の要求を忠実に受け止めての政策は、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマから全く学ぼうともしていません。資本主義の冷血な本質に基づいて進められていると断言してもよいように思います。

 教育・福祉関係で働いていた若い卒業生から、「ボクも昨年精神しょうがいしゃ2級になりました」と震えるような文字の年賀状をもらいました。すぐ電話しましたら「人間関係でいきづまって鬱になり休職しています」と、小さい声で「生きている」という感じがしない返事でした。貧困と格差の拡大で苦悩している人々が確実にふえていると思います。

 わたくし達は、人間性を実感できない人間疎外を必然的に進める資本主義の「外的条件」を受けとめて生きていかなければなりません。「3.11」以後の厳しい外的条件を主体的に受け止め、「希望」を内心から希求していきましょう。

 地域から「自由」に飛び出し、「自由」に競争させる資本主義・新自由主義は、究極的には人間解体に追い込むのではないかと思います。これに対抗する根本的な原理は“地域”に根ざして生きるという原理だと思います。

 つながりあって生きる地域が縮小させられている現実があります。「いのち」を再生産する地域をもう一度見直し、「再生」させる必要があると思います。

 生きるために、「3.11」以後でも、脱原発運動・TPP参加反対運動・大阪「独裁市長」反対運動などなど地道な個人の運動や団体の運動が加わってこれまでの枠を超えて「生きる地域」を意識して運動を広げてきました。これは地域で人間らしく生きたいという庶民・住民の願いの表れだと思います。この流れは、「生存権保障」の運動です。ここに「希望」があります。

 地域に根ざしながら「いのち・人権・平和」の教育づくりに一層の力を注ぎましょう。



子どもと教育の未来を切り拓く「力」を育み前進を・教育センターと
ともに


            京都教職員組合執行委員長 藤本 雅英

 「大切なのはみんなでムーブメントを起こすということ。それは署名にデモに色んな運動あると思うけど、これからや」「もっと政治的なことと生活の関係を考えなければいけない。日々活動すれば、世界は変わるだろう」「子どもが小さい今から、政治の大切さを教えていきたい」「連帯してやってこーぜ!!」・・・これらの声が、25日投票でおこなわれた京都市長選挙の開票後、ネット上に飛び交いました。その多くが中村和雄候補支援ではじめて選挙に参加された青年、若い「ママ・パパ」たちからの発信です。

 翌日、「あきらめない。希望がある」と青年教職員の声がよせられました。

 京都市長選挙は、中村和雄候補の当選には至りませんでした。しかし、希望がもてる未来にむけて、あらたな歴史を刻み始める息吹を実感できる共同が広がりました。

 昨年の東日本大震災、福島原発事故は、今なお社会、政治、行政のあり方を問い続けています。学校、教職員のあり方、そのはたす役割も問われています。

  そのことが京都で具体的に問われた市長選挙。まさに展望を拓くたたかいでした。

  「『効率』や『利潤』が優先され、『自己責任論』がまかり通る新自由主義的な『教育改革』へすすむことを許すのか、私たちがこれまで大切にし発展させてきた『子どもたちのいのちを慈しみ、人間として大切にする学校・地域』を創る方向へ進めるのか、私たちは今、『歴史の分岐点』にたっている」(中西新太郎氏・横浜市立大、2011年「全国教育のつどい」記念講演)。その「分岐点」において、子どもと教育の未来の方向にむけた力強い歩みをさらに強くしなければならない時です。

  子どもと教育をめぐる「激動」の情勢を切り開く力は、「教育共同」、運動と世論、政治を変えることにあります。

 そして、私たちの教育研究活動のとりくみが大切です。京教組、教育センターが貫いてきた「子どもの成長と発達をなによりも大切にする」ことを基調とした研究活動をさらに豊かにすすめることが求められています。

 子どもと教育の未来を開くそうした力を京都教育センターとともに育み、しっかりと歩みたいと思います。

 「京都教育センター年報(24号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(24号)」冊子をごらんください。

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              2012年3月
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