事務局 2010年度年報もくじ

教科教育研究会・国語部会
         2010年度活動のまとめ


    浅尾 紘也(教科教育研究会・国語部会事務局)



1.活動の概要

 今年度の活動として、以下の具体的な活動を進めた。

@ 「国語部通信」の発行

 今年度の「国語部通信」は、

  5月  第42号 2010「全国一斉学力テスト」国語(小)問題分析
     *2010全国一斉学力テストの国語問題(小)は、どのような問題をもつかの分析。

 8月  第43号 改定指導要領のもとで作られた小学校新教科書を分析する
     *新教科書が、改訂学習指導要領・国語科の提示した「言語処理能力」事項が色濃くなり、国語科指導の技能主義の強まりを指摘。

10月  第44号 改定学習指導要領本格実施・小学校新国語教科によって現場の国語教育は、どう変わるのか
     *教科書の内容だけでなく、現場にそれを進めようとする教育委員会・教育局の動き、提示などを解説、指摘。

12月  第45号 今、国語教育についての深い論議を
                 〜国語部会の活動にぜひ参加を〜
     *「国語教育の危機」に対して、どのように理論と実践を創造していくか、今後の活動についての尊家のよびかけ。

12月  第46号 国語教育の危機、課題をどうとらえ、
               私たちの実践をどう創造していくのか
            〜センター研究集会/国語分科会・基調報告〜
  *国語分科会の論議のための基調報告として、課題を提起。

 1月  第47号 国語教育の危機、課題をどうとらえ、 私たちの実践をどう創造していくのか
           〜国語分科会で、何が提起され、何が論議となったか〜
   *大きな成果のあった国語分科会での提起・講演の内容と論議のまとめ。参加者の声も収録。

 3月  第48号 2010国語部会活動のまとめ
   *今年度の国語部会の活動のまとめ。今後の課題も提起。 を発行してきた。

 これは、国語部会としての活動の中心となる、「国語教育の現状を確かにとらえる」こと、「国語教育の課題を的確に提起する」こと、さらに「国語教育の実践の方向性を示す」ことを、通信発行のとりくみによって、具体化していくことをめざし、とりわけ、今後の大きな論議課題となる問題などについて、提起し、国語教育の変質がどのように進められようとしているのか、問題点や課題を提起し続けてきた、これまでの活動をさらに進めてきたものである。

Aセンター研/国語教育分科会開催

 1月のセンター研究集会では、今年も国語部会が中心となる分科会(国語分科会)を開催し、提起と討議を深めた。 国語部会通信でも提起してきたように、今年の最大の課題と問題点は、改定学習指導要領・国語科の本格実施が来年度に迫り、その試行もかなり具体的なものとなり、それを受けての小学校国語教科書の検定・採択が終わり、その枠での指導が進められようとしていることである。

 この「国語教育の危機」に対して、私たちの最大の課題は、実践をどのように進めていくのか、それを理論的にも実践的にも明確にしていくことである。 この課題に応える分科会としていくために、国語教育についての幅の広い研究活動にとりくまれている児童言語研究会の委員長である森慎氏を招いて、講演・提起をお願いした。の内容は、午前の「国語教育、その課題と私たちの課題〜児言研の研究成果をふまえて〜」、午後の「認識と論理を育てる 説明文教育の授業」と、国語教育総論と説明文教育の授業をふまえた実践の提起・講演であった。 今年度の参加は、17名と過去最高で、京都府下だけでなく他府県(広島・大阪等)からの参加もあり、多くを学ぶことができ、論議が深まった。

         *詳細については、センター研・分科会報告を参照

 今後の国語部会としての活動課題は、さらに、各分野の内容についての論議を深め、国語教育の危機を乗り越える理論と実践を創造していくことである。

B国語教育連続学習会の開催

 センター研・国語分科会での今後の課題となった、さらに国語教育についての論議を深め、国語教育の理論と実践を創造していくためと、全国教研(教育のつどい)国語分科会から提起されている、「国語分科会・20年のまとめ」の提起についての論議要請に応えるために、国語教育の各分野で、これまで何が、どのように論議され、何が課題として残っているかを深めることをめざしての「国語教育連続学習会」を今年度から来年度の活動として続けていくこととした。

 日程としては、 2010年度

  2月  言語の学習
  3月  説明文教育 2011年度
  5月  文学教育
  6月  作文教育

としてとりくみを進めている。

 論議としては、全国教研・国語分科会の提起と論議のまとめについて深めることではあるが、ここでの論議は、京都の教研活動の集大成としての「国語教育・三分野説」を再検討していくためとしても意味を持つものであると私たちは考えている。 その「まとめ」が、今後の京都での国語教育研究・実践の指針として機能していくことをめざしたい。


2.国語部会が提起しづけてきたことと今後の課題

 今年の国語分科会のテーマとした「国語教育の危機」は、来年度の改定学習指導要領の本格実施で、まさに深刻な状況となる。

 これに対して私たちの実践をどのように創造的に進めていくのか、今、まさに正念場だといっていい。これを意識して国語部会の活動をより幅広く進めていくことが必要である。

 しかしながら私たちの国語教育研究活動の現状は、この状況に対してさまざまな力を組織的に結集していくものとは、残念ながらなってはいない。そして、京都教研の現状も、教科教育の研究のレポート・提起も数的にも減少し、その論議も、これまでの積み上げ・成果をふまえ、それを生産的に発展させていくものにはなっていないのも事実である。

 このような状況に対して、今後の国語部会の活動が、その弱さを乗り越えていくものになっていくために、「国語教育連続学習会」等の具体的活動を、ねばり強く地道に進めていきたい。

 「京都教育センター年報(23号)」の内容について、当ホームページに掲載されているものはその概要を編集したものであり、必ずしも年報の全文を正確に掲載しているものではありません。文責はセンター事務局にあります。詳しい内容につきましては、「京都教育センター年報(23号)」冊子をごらんください。
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