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【子ども・教育・文化の共同・京都ネットワークのページ】

演劇で確かめよう
憲法と教育基本法の価値

憲法誕生の瞬間(とき)『真珠の首飾り』京都上映実行委員会

須田 稔

◇人と人を結ぶ舞台芸術

「どこかに美しい人と人との力はないか/同じ時代をともに生きる/親しさとおかしさとそうして怒りが/鋭い力となってたちあらわれる」茨木のり子の「六月」という詩の第二連です。感受性に鋭い鈍いの差はあろうと、共感する力、思いやる想像力、優しさを創る力、いのちを愛する力を圧し潰そうと襲いかかるものを怒る力、こういう力すべてを共有する私たちが、鋭さを研ぐなら、連帯と団結の強靭な絆、美しい人と人との力を紡げる。芸術にその機能はある。『真珠の首飾り』の舞台にも、その迫力はあるのです。

◇憲法草案の作成過程がドラマに

 ポツダム宣言を受諾しておきながら戦後の内閣は、大日本帝国憲法の「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」の「神聖」を「至尊」に変えるだけの見識しかありませんでした。
 1945年11月10日、日本共産党が発表した「新憲法の骨子」には、「一、主権は人民にある」「二、民主議会は主権を管理する。民主議会は十八歳以上の男女の選挙権、被選挙権の基礎に立つ……」とあり、翌46年1月から2月に日本自由党は「天皇ハ統治権ノ総攬者ナリ」、日本進歩党は「天皇は臣民ノ輔翼に依リ憲法ノ条規ニ従ヒ統治権ヲ行フ」、日本社会党は「主権は国家(天皇を含む国民協同体)に在り」、「統治権は之を分割し、主要部を議会に、一部を天皇に帰属せしめ、天皇制を存置す」という案を提起しました。
 マッカーサーが日本政府の時代錯誤に業を煮やし、独自の憲法草案の作成を民政局に指示したのは46年2月3日。政府案を拒否しGHQ草案を手渡したのが13日。政府が改正草案要綱(主権在民・象徴天皇制・戦争放棄)を発表、GHQが支持を表明したのは3月6日。こうして11月3日、日本国憲法が公布されました。この草案作成過程のドラマが『真珠の首飾り』です。
 1776年のアメリカ独立宣言、1881年の植木枝盛の国憲按、1917年のソビエト政府の平和に関する布告など、人類の英知が獲得した「普遍の原理」を学び合いたいものです。

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