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【子ども・教育・文化の共同・京都ネットワークのページ】

町村文部科学大臣の
「不登校」発言に抗議します

登校拒否・不登校を考える京都連絡会代表世話人

古河一秀

 登校拒否・不登校を考える京都連絡会は、町村信孝文部科学大臣が2月2日に「小中学生の不登校は、はき違えた自由・子どもの権利の行き過ぎが原因」と記者団に発言したことに対し、3月6日に抗議文を送り、町村文部科学大臣の猛省を促しました。
 全文を紹介します。
 なお、登校拒否・不登校を考える京都連絡会の加盟団体は以下です。
・東宇治登校拒否の子どもと育つ父母の会
・登校拒否を考える親の会
・展望の会
・向日市親の会
・京都不登校の子を持つ親の会
・やわた不登校を考える会


町村信孝文部科学大臣殿

「不登校」発言に対する抗議文

 あなたは去る二月二日、報道陣との懇談の席上、小中学生の不登校について『はき違えた自由・子どもの権利の行き過ぎが原因』と述べられました。
 不登校の子どもたちは、「わがまま」や「はき違えた自由」のために行かないのではありません。本当にそうであるのなら、悩んだり、苦しんだりすることはないのです。そうではなく、「学校に行かなければならない」と思っているからこそ、「悩み・苦しみ」「傷つく」のです。しかし、そう思っていても、学校に行けないのです。なぜなら、学校に行くためには「透明な存在」「自分が自分でない存在」になるしかないからです。学校に行かないことで「本当の自分」を取り戻すしか無いのです。そんな思いで日々過ごしている子どもに接している親にとって、今回の発言内容は、とても受け入れる事は出来ません。今の学校に対して多大の不安とストレスを抱え「学校へ行きたくても行けない」で苦しんでいる全国で一三万人(一九九九年度文部省発表)を超える子どもたちや、それを支える親や教師の気持ちを逆なでするものです。
 今日の日本の学校教育は、受験中心の知識の「つめ込み」と「競争・管理」の中で、子どもたちから「学び」の本当の意味や喜びを奪っています。そのことは国連の子どもの権利委員会も、一九九八年日本政府に「日本の教育制度は過度に競争的で、子どもの心身の発達に悪影響を及ぼし」「そのストレスのために不登校やイジメが増えている」と勧告されています。また、文部省も「不登校はどの子にもおこりうる」との見解を表明しております。これらの解決無くしては、真の教育改革は無いと思います。
 今のままでは不登校の子どもたちは増える一方です。あなたは一度苦しんでいる不登校の子どもやその親と直接あって、その声にしっかり耳を傾け真実を探ろうとする誠意や意欲を見せてください。

二〇〇一年三月六日
登校拒否・不登校を考える京都連絡会
代表世話人 古河一秀
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