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京都教育センター 発達問題研究会 公開研究会
 
子どもの発達と自然との関わり
地域で育つ子どもの発達−−自然教室の実践を通して−−
堀井 篤さん(元立命館高校)の報告から


          浅井 定雄(京都教育センター事務局・発達問題研究会)
 


 京都教育センター発達問題研究会は、6月26日(土)に「子どもの発達と自然との関わり」をテーマに公開研究会を行いました。その中での堀井篤さんのレポートを中心に報告します。


公開研究会開催にいたる経過

 発達問題研究会では「子ども達と今日の学校・社会環境の間に介在する困難とその可能性」という視点から、「子ども達の文化や地域と自然環境を捉え直す」議論を試みてきています。

 06年より連続して「子ども達の発達課題と地域環境」をテーマに、研究会を公開研究会や月例研究例会として開催。現場からさまざまな活動を報告していただき、実態に基づいた学習・研究討議を行ってきています。また、例会や教育センター研究集会分科会においても「人間と自然との相互性」「子どもの発達と自然との関わり」に関する研究を継続しています。

 08年の公開研究会では、学習活動をより広い文化的−歴史的なコンテクストの中に捉え、人間活動の創造的可能性を発見し現実化しながら、自分たちの制度や行為を転換する、集団的転換への実践的な参加へと向けられている「拡張による学習」と子どもたちを取り巻く環境について検討しました。

 そして、09年は「ダーウィン生誕200年」に絡め、「人類の進化と子どもの発達」の視点から、「子ども観」について議論してきました。

 10年の今回は、3月例会において行われた堀井篤さんの「岩石・鉱物・化石展を開催して−−地域の人々とどう交流したか−−」のレポート報告を深め、「子どもの発達」についての学習・討議を深める目的で開催されました。


「地域で育つ子どもの発達   −−自然教室の実践を通して」
                報告者 堀井篤さん(元立命館高校)

 堀井さんは、自然教室(久美浜地域学校自然教室)の中で、子ども達と共に取り組んだ「古代たたらによる製鉄」の取り組みを中心に報告されました。

 堀井さんの自然教室は、久美浜を中心に14年間続けられた実践です。「古代たたら」による製鉄づくりには子ども達24人が取り組みました。地域のおじいさん方、林業をやっている方々等から粘土を持ってきてもらって窯の材料を集め、木炭100キロ、砂鉄31キロを子ども達と共に集めました。こうした中で「たたら製鉄」を行い、12.9キログラムの鉄がとれたということです。「たたら製鉄」による鉄づくりは04年11月に行われましたが、現在、普通のカナクソ(鉄滓)はさびてしまっていますが、タマガネ(玉鋼)は今でも全くさびていません。たたら製鉄を経験して、自然教室を卒業していった子ども達は、現在高校生や大学生になっていますが、先日集まってくれて「ひとつのことでもいっしょうけんめいにやることが大事ということを学んだ」と言ってくれたそうです。

 自然教室には、小さい子どもから高校生までが参加し、毎年だいたい30人前後になるといいます。2年生以下は保護者同伴、3年生以上は個人で参加ですが、集合場所まで保護者送迎で、この送迎に関わる中で親たちも取り組みに協力するようになってきました。月2回で1年間続け、とりわけ異年令集団の中で子ども達の教え合いが生まれるなど、たいへん良かったといいます。

 そして、こうした取り組みの中で、子ども達の自然認識が次のような点で深まったのではないかと報告をまとめられました。


【子ども達の自然認識について】


1)自然についての考え方。うまいことできている。

2)自然と人間の関係はどうあるべきか。人間のことだけ考えてはいけない。

3)ものごとは変化、発展するということ。

4)生命の存在について、種の生い立ちから生き物であるということ。

5)ヒトは自然界の中で一番新しい動物であるということ。

6)環境問題


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