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生活指導研究会
2007年度の活動総括と2008年度の方針 
築山 崇(京都教育センター)
 
2007年度活動のまとめ


1. 経過(2007年3月〜2008年1月)

 3月例会 浅井報告:「いじめ自殺はなぜ防げなかったのか―埼玉県本庄市・本庄東中学いじめ自殺事件から考える−」
       「いじめ事件の背景―学校・社会の状況」という二つの資料をもとに報告・討議。

 4月例会 東宇治中学校での生徒・父母・教職員の学校の教育活動に関する評価の調査結果をもとに議論

 5月例会 子ども・若者の規範意識をめぐって 雑誌『教育』2007年5月号特集をテキストに
         奥平康照 子ども・若者の規範意識形成の可能性はどこにあるか
        金子隆弘 ゼロトレランス導入の動向

 6月例会 子ども・若者の規範意識をめぐってA
        加藤浩一 埼玉県「三つの達成目標・規律ある態度」
        木村好美 高校生の規範意識はていかしているのか 

 8月例会 右京区京北町の府立ゼミナールハウスにて、以下の課題討議と実践・研究交流。
        □生徒指導をめぐる歴史的経過の確認 
        ■近年の生徒指導をめぐる特徴的動向の確認      
        □研究会としての、研究課題・研究の柱の再確認

 9月例会 「自分史をつづることで見えてきたもの」 ―(横内報告と討議)

 10月例会 ・9月例会横内報告(自分史を綴る取り組みから) 継続討議
         *学校体験(いじめ・行事など)、生活体験(家族関係・地域社会とのつながりなど)と/現代の子どもたちの自己形成(内面形成)の関連性など
         ・教育センター冬季研究会 生活指導分科会の内容・運営について
         ・京都教研生活指導分科会への問題提起について

 12月例会 ・第57次京都教研生活指導分科会の内容について(分科会概要)
         ・第38回京都教育センター冬季研究集会 生活指導分科会の企画・運営について

 1月例会 センター研究集会第2分科会のまとめについて
        生活指導研究会2007年度活動のまとめと2008年度方針について


2. 2007年度の活動方針(2007年3月例会での確認)

1.「いじめ」と「子どもの自殺」の問題を区別した上で、事例や関連する実践、論文等の分析を以下の視点で行っていくこと。

 ・事例分析を踏まえ、「いじめ」の定義について検討する。・子ども相互の関係におけるトラブルの解決への指導のあり方・中学、高校の部活動における生徒相互の関係や指導のあり方・加害者−被害者という垂直的関係に議論が終始したり、学校の対応や親のあり方など、何らかの「悪役」をつくって、それを攻撃して済ましているような社会風潮。

2.「いじめ」「子どもの自殺」いずれにおいても、一人ひとりの子どもの内面についての分析を進めること。

 ・「いじめ」が、子ども相互の関係や教師の指導などによって解決に至るケース、不登校・引きこもりの引き金になるケース、自殺にまで至るケースなど、それぞれのケースにおける”違い”は、どこにあるのか。

 ・子どもの死生観(生命観)や、自己肯定感などとの関連。

 ・自殺者が出たときに、子ども達が見せる悲しみや悔恨の情、「2度と悲しい出来事を繰り返さない」とする決意などに伴う心情。

3.「いじめ」問題に対する、学校あるいは地域社会の対応についての分析を以下の視点で進めること。

 ・最近のマスコミ論調では、親・家庭の責任を問う傾向が強く、家庭・地域社会のあり方に政治(行政)が介入的にかかわる仕組みづくり(各種の「連携」「ネットワーク」)がすすめられているが、それらをどうみるか。

4.インターネット上での個人攻撃など、問題の新たな表れ方についての分析を進めること。


3. 到達点と課題 到達点

 ・2007年度3月から、継続的に(ほぼ月例で)研究例会を持つことができ、8月には会場を京北のゼミナールハウスに移して、交流・親睦も兼ねた機会をもつことができた。

 ・自分史から生徒の内面に迫る実践など、積極的な実践の提起が見られた。・研究会での議論を経て、京都教研生活指導分科会に問題提起することができた。

 ・センター研究集会(12月23日分科会)では、小・中・高それぞれからの報告を得ることができた。特に、中学校からは、伝統のある行事を中心に生徒の自治能力を育む取り組みの成果と、今日的な状況への対応の難しさがリアルに報告された。また本年度の活動の主要な柱である子どものいじめ・自殺問題についての、掘り下げた討議をすることができた。

 課題

 ・3月例会で目標として掲げていた、いじめ・自殺問題に対する研究会としてのまとまった問題・解決方向の提示、集団づくりや個別の支援方法の解明など、今日的状況に対応した実践のあり方の探求がまずある。

 ・教育基本法の「改正」、関連法の「改正」をうけた、官製生徒指導の動向の分析と批判。本年度末に公示される新学習指導要領(1月発表の中教審答申)における、生徒指導の内容についての批判的検討。

 ・官製生徒指導の、狭い枠組を越え、それに変わる“もうひとつの”生徒指導・生活指導の全体構想の構築。

2008年度の方針


1.主な研究テーマ  ◇いじめ問題についての継続的研究

 ・実態のより正確な分析と子どもの内面の把握
   ◇官製生徒指導の批判的検討と、自治と人間的共感を育む生活指導実践のあり方の探求

 ・ゼロトレランスの克服、規律・規範の教育のあり方の検討
  ◇自治的諸活動の指導・集団づくりをめぐる今日の実践の到達点と課題について

 ・習熟度別学級編制など、学習集団と生活指導の関係の問題点の検討
  ◇子ども・父母(住民)・教師の協同による学校づくりを支える“自治”の構築


2.研究会の組織化のとりくみ

  ◇上記の”飛躍”の課題にふさわしい取り組みを展開するため、教組、各種サークル等へも呼びかけて、研究討議の輪を広げることを目指す。

  ◇研究例会、教組の教研、センター研究集会を相互に関連付けながら質的な発展を図る。

3.その他

 例会計画 2007年度の実績を踏まえ、4〜8月期、9〜12月期、1〜3月期の3期を念頭に、活動の柱を設定し、メリハリのある活動に取り組む。
研究会の体制


代表 加藤 西郷(大) 築山 崇(大・事務局)   

会員 略

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