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特別報告A
  「京都における「評価」をめぐる動き
辻 健司(京教組)
 
(1)「教育改革」教職員意識調査アンケートの結果から
 
 一般の父母では「教育改革は,何か良いことをしてくれること」という意識がある。これをアンケートで打ち破っていく。
 教職員課が「教員評価」のシステム作りを始めている。学校評価は,学校指導課が行っていて,横の連携はない。
(情報資料1〜4をもとに説明)
 
 「教員の評価に関する調査研究会議・委員会」では、オムロンの人材開発部長等が論戦をリード。
 「成績評価は、加点方式にすべき。マイナス的なものが入って、損得関係があってはならない。」「意欲をどう評価するかは、難しい」等,それぞれの委員が,自分の思いを語っている。
 他府県の例から、5段階評価を導入する。Bを中心からCを中心へ。
 
 京都市の検討会議は、市教育委・学校関係者のみ、秘密主義。また「給与に結びつける」ことを早くから言っている。すでに実施した県を「先進」として紹介している。
 
 ホームページの「会議記録」は,編集されていて、実態に合わないものになっている。第5回、独自で作ったものによれば「教育関係者に意見を聴衆する」となっていて、教育委員や校長会、PTA会長、「きょうと教組」書記長などが発言している。
 第6回、京都教職員組合は、「「府民の信頼に応える学校作り」と言われているが、実際に出てきたものは、それに沿わないものであり、見直しを求める。」と主張。12月24日には「中間まとめ案」を手直しして出してくるので、それを検討する。
 校長や教頭も評価される。第二次評価者は、教育長となっている。教諭などを評価する者は教頭になっているが,、評価補助者」として主任などがあがっている。評価項目は「能力」「実績」「意欲」となっているが、「協調性や積極性」は、「ごますり度」ともとれる。リーダーシップは管理職だけで良いのか。
 「自己申告」と「業績評価」は,東京と全く同じ。(例)としてあげたものが,実際は「そのようにしなければならないもの」として受け止められている。
 「学校の教育力を高める教職員評価のあり方を考えよう!」と14項目の提案をしている。「人事にリンクさせることには反対」は言いつづけなければならない。来年度は、全校で試行実施、その次は全校で実施。「人事院勧告」(給料)とリンクさせることを考えてはいるが、現在中間報告では,その文面はだしてはいない。
 
全体討論
「目標による管理」で、学校は活性化するのか・・・?
 
○「攻撃の狙い」が。人事・賃金へのリンクにあるのに、そこのところの指摘はあるものの、対 応として「教員評価をどうするか」になってしまっているのではないか。
○「教員評価」についての、基本的な視点が定まっていない。学校は、システムで動いているの に、どうして「個人の評価」をしなくてはならないのか、が問題である。
○教員の評定が問題である。ILOユネスコ勧告による「専門職」としての位置づけが必要であ り、それなりの待遇が必要になっている。
○「教育評価論」だけだと、相手の土俵に乗るものであるとの意見はあるが、今まで現場からは 評価はでなかった。「勤務評定がないのは異常」という世論を背景に、今回の攻撃がだされて いるので、これに「評価論」の立場からきちんと応えていかなければならない。これはまた「教 師の専門性」を論議できる土俵でもある。
○教職員を現代にふさわしく再生させるということは、どういうことなのか、真剣に考えて行く 必要のあることである。
○過労死問題でも、教師は特に「精神疾患」的なストレスが多い。それは教育という仕事は「思 ったようには製品は仕上がらない。」。このことを、市民の共通のものとしなければいけない。 そのためにどうするのか。こうしたものを作り上げる上での、世論作りを進めていく上でも、 今回のことを生かさなければならないのではないか。
○教師に対して「シビアな目」があるということも,しっかり見ておかないと、これを背景に(利 用して)教師攻撃が行われている点を見ておかなければならないし、対応が求められることで もある。
○リストラ等の中で、どう父母との連帯を構築していくか、という視点の中で運動が提起されな ければならない。教師の特殊性をどう理解してもらうかは、教師の仕事でもある。それがなく て、賃金・人事とのリンクだけでは、国民の支持を得ることができない。
○東京では、今回の人事考課制度は「撤回しかない」は、ほとんどの教師が一致できるが、もし 撤回したときに「人事評価をどう考えるか」「父母の学校参加をどう考えるか」では、さまざ まな論議がわき上がる。広い意味での評価は、もっとされる必要がある。事務職員の専門性と 教職員の専門性は、どこが違うのか、そこまでの議論が出てきている。
○綴喜の小学校では、新規採用者2名、毎日のように9時10時まで残っていっしょうけんめい にやっているが、教育現場は大変で、先生は痩せて、心身を疲れさせていく。だのに行政は, それを放っておいて、教育現場の困難を放っておいて、人事考課制度を進めている。教師の教 育実践を高める方策をどのようにつくっていくのか・・・
○八幡の教育委員会のアンケート。小学校一年生に,挨拶や先生の対応等を聞いている。高学年 には、「成績はどうだったか」「先生は、○○○してくれるか」と言うアンケートがあって、 それを学校を通じてやらせていく。1学期は、父母へのアンケートであった。これを押し返し て、どういう教育実践をつくっていくのか,が問われている。
○「新聞都教組」の「ILO勧告」の記事は、(専門職的行為)・・・単なる専門家ではなく、 専門職であり、専門職的団体として扱っている。ILO31項目で、勧告批判を明らかにして いる。
○今後の子どもの育成に、きわめて大きな影響がある。学校内で教師が物言えなくなっていくこ とに危惧を感じる。世の中が、どのような教育を求めているのか、どのような人材を求めてい くのか。
○(まとめ)評価を軸として深めた議論ができた。ぜひこの議論を深め、広めてほしい。
 
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