トップ 高校問題研究会
 
高校問題研究会
2007年度総括と2008年度方針
 
 

1.2007年度の活動

 高校問題研究会は、7人の事務局体制をもとに、高校生・卒業生・保護者・教職 員をふくめた年間の研究会を開催し、運営を進めている。今年度は事務局会議を8 回、教育センター研究集会の高校分科会運営委員会を2回開催(1/24現在)  している。  今年度開催した研究会は、以下の通りである。

(1)第9回高校教育懇談会

※今回の高校教育懇談会は、京教組の民主教育推進委員会第4分科会、及び京都教育センター公開研究会を兼ねて開催され、参加者は32名で例年より多数だった前年度(30人)よりさらに増加した。

  今年度の第9回懇談会では、現在の京都の公立校校がいわゆる「困難校」と「進学重点校」に分かれ、いずれの学校も教員・生徒双方にストレスが増加する傾向があることに着目し、どのような高校にしたら“(生徒が)行きたい”“(教職員が)働きたい”学校になるのか、本来どのような改革が望まれるのか、などを明らかにしようとするものであった。

 第9回高校教育懇談会(京都教育センター高校問題研究会) 兼 民主教育推進委員会第4分科会  兼 京都教育センター公開研究会  まとめ−−(詳細は 京都教育センター年報20号をごらんください)

(2)2007年度京都教育センター研究集会第7分科会(高校教育)

    (2007.12/23実施) 
    (内容のまとめは、京都教育センター年報第2部の研究集会分科会まとめを参照)

(3)2月以後の活動

  高校問題研究会独自の「高校教育学習会」を3月20日(木)13:30から開催します。京都の高校教育に関するテーマで、場所は京都教育会館別館2階・教育センター室です。

 ※昨年度の、高校問題研究会主催による高校教育学習会の内容を紹介します。
2006年度 高校教育学習会の内容まとめ
@日時:3/24(土) 13:30〜16:00
A場所:教育センター室(教育会館別館2階)
Bテーマ:「高校統廃合と専門学科は何をもたらしたか?――南山城の公立高校入試の動向―― 」

(詳細は 京都教育センター年報20号をごらんください)



2008年度の方針(案)


 京都府教委は、2003〜04年にかけて「府立高校改革推進計画(T・U)」を決定した。この中では、総合学科増設や「新しいタイプの単位制高校」(「多様で柔軟な教育システム」)、山城北・南通学圏の統合、府立高校の再編整備=統合(「府立高校の規模の適正化・適正配置」)の方針を明らかにした。また、京都市教委も京都市が2003年策定した「安らぎ華やぎ京都21推進プラン」に基づき年次計画を進めている。

 それらの具体化として2004年度入試から山城通学圏の統合と受験機会を複数化(前期・中期・後期)した入試が行われ、混乱や保護者の負担増が生じたにもかかわらず2006年度入試から口丹以北でも同様の入試が導入された。さらに、京都市・乙訓地域でも、2009年度入試から通学圏拡大(京都市北・南の2通学圏へ)と通学圏を越えて志願できるシステム、前期特色選抜の導入が、市民の意見を十分聞かずに決定された。

 府立洛北高校・市立西京高校での中高一貫校もスタートし、2006年度からは大学進学を目当てにした新しい専門学科が4校(南陽高校など)で始まっている。また、京都で初の高校統廃合として城南・西宇治高校、八幡・南八幡高校の統廃合が進められている(城南高校は2009年3月で廃校になり、西宇治高校に統合)。

 これらは「学校選択」の名の下に地域の高校、普通科の高校をつぶして一方にエリート校を作るものであり、地域の高校に入学して真の基礎学力をつけたいという中学生・父母の希望に反するものである。京都市立高校定時制を廃止し募集定員を縮小する動き(府立・市立)も、高校入学への期待を切り捨てるものである。

 しかし、府教委・市教委のねらいが思うようには進んでいないことも見ておく必要がある。大学進学に特化した新設の「専門学科」でも定員割れが起こり(城南高校や亀岡高校)、京都市・乙訓地域の入試制度では総合選抜制を残さざるをえなかった。また、当初導入をもくろんでいたフレックス・ハイスクールは頓挫している。府民の教育要求との間に矛盾が広がっているのも事実である。

 2008年度の研究会の主な活動の目標として、次の4つの課題を挙げておきたい。

@府教委の「府立高校改革推進計画」や京都市の「推進プラン」に基づいて、高校の「多様化」「特色づくり」と学校の選択拡大をさらに進める制度改編が強行されている中で、高校制度や入試のあり方について検討を重ねること。

A日本と世界の現状・未来を考え平和をめざし、管理的な生徒指導に反対する取り組みを進め、学校運営に意見を反映させるなど、権利を広げ自主活動を進める高校生の活動の交流と学び合いを進め、今後の学校のありかたを考えること。

B“学びからの逃避”と言われる中での高校生の学力低下や学習実態、携帯電話等に象徴される生活の実状、高校生活や今の社会に対する要求・意識をつかみ、生徒の学習意欲を引き出す授業や学校の今後の取り組みの方向を検討すること。「授業・補習づけ」や特定科目の単位数「偽装」・未履修などで進学実績をあげる動きに対し、真の学力をつけるとりくみを進めること。

C府教委・市教委が、「特色ある学校づくり」の名のもとに高校制度改編を新たに進める中で、高校生自身は高校の制度や教育内容、学校生活にどのような意見を持っているのか。この数年間、高校問題研究会ではさまざまな意見発表・交流の場を設けてきたが、今後さらに多くの高校生・卒業生の意見を聞き、ともに議論を進めること。また、高校入試の当事者である中学生や高校生活を経験した大学生などの参 加を増やすことや、父母・地域の方の声を聞くことも課題である。

 高校「多様化」が強められ、中学生の進路選択に矛盾が拡大している。高校教育だけでなく小・中・高校を通した教育全体を考えていくこと、懇談会に高校だけでなく小・中学校の保護者・教職員の参加を呼びかけていくこと(高校の保護者、現場の教職員の参加を高めることも大きな課題)が求められる。また組織面でも、研究会の事務局体制をさらに強化し、高校教育懇談会や学習会の企画の充実を図りつつ、会員拡大にも取り組んでいきたい。


研究会の体制

 ・代表 中村誠一(元府立高教組役員)
 ・事務局長 磯崎三郎(城陽高校)
 ・事務局 佐野幸良(府立高教組)、向仲裕哉(久御山高校)、竹脇隆(朱雀高校)、島田茂生(南丹高校)、吉田功(紫野高校)
 ・会員(上記以外)(2007年1月現在、会員数48名)
  名前 略
トップ 高校問題研究会