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高校問題研究会2004年総括と2005年方針
 
 

2004年度の活動

1.2004年度の活動



 
  高校問題研究会は、7人の事務局体制をもとに、高校生・卒業生・保護者・教職員をふくめた年間の研究会を開催し、運営を進めている。(今年度は事務局会議を8回、教育センター夏季研の高校問題分科会運営委員会を5回開催)
 
 今年度開催した研究会は、以下の通りである。         
1 第6回高校教育懇談会(6/12実施。テーマは「京都の『公立高校改革』を斬る」。報告は、@相楽郡教組書記長(元木津町立木津第二中学校)・中山明則先生「この春、山城通学圏の入試で何が起こったか〜中学校現場からのレポート〜」、A朱雀高校定時制・松本朝生先生「定時制・通信制教育のいま〜フレックス・ハイスクールですべて解決するのか?〜」               
 (内容の詳細は、京都教育センター2004年度年報 第3部の「高校教育懇談会まとめ」を参照)
※今回の高校教育懇談会は、京教組の民主教育推進委員会第4分科会を兼ねて開催され、参加者は15名だった。
  高校問題研究会では、99年度から毎年高校教育懇談会を開催し、府教委等が進める高校「多様化」政策の実態と問題点を明らかにする企画を進めてきた。

 京都府教委が2003〜04年にかけて相次いで決定した「府立高校改革推進計画(T)」「同(U)」は、@高校ごとの「役割分担」を進めること、A高校の「適正規模」に照らしての「公立高校の統廃合」、B通学圏の拡大、C定時制・通信制の再編整備=定時制の統廃合を進め、フレックス・ハイスクールを導入することを主な内容としていた。それは、府民の公立高校入学の要求に応えるものではなく、この間府教委が進めてきた「特色ある学校づくり」をさらに進め、一部の公立高校 に学力の高い生徒を集め高校間格差を一層拡大するものであった。      今年度の第6回懇談会では、京都府教委が上記「推進計画」実行の第一として進めた山城地域(宇治市以南)の2004年度公立高校入試制度大改編の内容・影響について、および京都の定時制・通信制高校の実態とフレックス・ハイスクールの問題についての二つのテーマで、報告・討論を行った。


第6回高校教育懇談会(京都教育センター高校問題研究会)兼 民主教育推進委員会第4分科会 まとめ(略)



2 2004年度京都教育センター夏季研究集会第4分科会(高校教育)
   (8/29実施)(内容の詳細は、京都教育センター2004年報 第2部の夏季研分科会まとめを参照)


 
  第4分科会では、例年高校生や卒業生が参加し、自主活動の報告や学校の指導方針・国の教育政策への意見発表にもとづき、討論を行ってきた。
  今年度は、近年の京都の公立高校で「校長中心の学校運営」が強められ、生徒・保護者・教職員の意見の尊重がきわめて不充分な中で、分科会テーマを「学校改革と生徒・保護者の参加」とし、各校で様々な活動をしている高校生・保護者が意見発表・報告をした。テーマは学校行事や授業、自主活動、校則、先生への評価、保護者の学校づくりへの参加、生徒・保護者・教職員共同による学校改革などさまざまにわたり、参加した高校生・保護者・教職員を含めて討論を行った。
  分科会での発表・討論を通じて明らかになった内容をまとめておきたい。
 @高校生の学校生活への不満は、主に学校行事の要求が認められていないこと、服装・頭髪チェックが厳しいことに向けられているが、生徒会が動いた結果球技大会などの行事が復活した学校や、研修旅行の行き先に生徒の意見を反映させている学校があることも明らかになった。
 A授業や教員の活動に生徒がさまざまな不満・要求をもっていることが明らかになった。とくに一方通行の授業・対応への不満、授業準備の不十分なことへの不満が多く出ていたのが特徴である。教職員が教育活動を改善していくには、生徒の要求をもとに生徒と交流し改善をはかる場をつくることが必要である。
 B高校生への「先生にも『通知簿』が必要か?」の問いには、「賛成」が約半数あったが、先生への評価結果で給料を変えることには賛成は少なかった。高校生からは、行政が先生を評価することへの疑問や、評価されて給料まで下げられることへの批判も出された。
 C保護者からは、高校の多くが大学進学ばかり重視し、高校が大学への通過点ととらえていること、公立高校定員減で地元の高校へ行けなくなることへの批判が出された。また、山城地域の新入試制度のように通学圏が拡大されることへの不安も出された。
   進学ばかりでなく、学校行事や自主活動を通じて自分を出せる場面のある学校、自分の達成感・誇りを持って卒業できる学校を目ざして欲しいという声も強かった。
 D鴨沂高校からはPTA三者懇談会(生徒・保護者・教職員)や卒業生アンケートに基づく学校改革の経験が報告された。鴨沂高校の学校づくりでは、「学校の特色」がまずあって学校を選ぶのではなく、「入学した生徒・保護者と教職員が新しく学校をつくる」ことを基本にしているのが特徴である。
 E今年度の分科会では、高校生・保護者・教職員の三者それぞれから学校改革への報告が出され意見交流できたことが、大きな成果であった。
                              (参加:25名)



3 1月以後の活動
 
 高校問題研究会会員独自の研究会(高校教育学習会)を2月26日(土)13:30から開催します。テーマは、「京都の中学生は今── 学力・生活の実態と高校入試」(仮題)を予定しています。場所や内容の詳細が決まり次第お知らせしますので、ご参加下さい。
 
 ※昨年度の、高校問題研究会主催による高校教育学習会の内容(略)


 


2005年度の方針(案)


 
  京都府教委は「在り方懇」まとめに基づき、2003〜04年にかけて「府立高校改革推進計画(T・U)」を決定した。この中では、総合学科増設や「新しいタイプの単位制高校」(「多様で柔軟な教育システム」)、山城北・南通学圏の統合、府立高校の再編整備=統合(「府立高校の規模の適正化・適正配置」)の方針を明らかにした。また、京都市教委も京都市が2003年3月策定した「安らぎ華やぎ京都21推進プラン」に基づき年次計画を進めている。それらの具体化として、2004年度入試では山城通学圏の統合と受験機会を複数化(前期・中期・後期)した入試が行われて混乱が生じ、府立洛北高校・市立西京高校での中高一貫校がスタートしている。これらは「学校選択」の名の下に、地域の高校をつぶして一方にエリート校を作るものであり、また普通科を減らして高校生に真の基礎学力をつける保障を狭めるものである。
 
  今年度の研究会の主な活動の目標として、次の4つの課題を挙げておきたい。
 @府教委の「府立高校改革推進計画」や京都市の「推進プラン」に基づいて、高校の「多様化」「特色づくり」と学校の選択拡大をさらに進める制度改編が強行されている中で、高校制度や入試のあり方について検討を重ねること。
 A日本と世界の現状・未来を考え平和をめざし、管理的な生徒指導に反対する取り組みを進め、学校運営に意見を反映させるなど、権利を広げ自主活動を進める高校生の活動の交流と学び合いを進め、今後の学校のありかたを考えること。
 B“学びからの逃避”と言われる中での高校生の学力低下や学習実態、携帯電話等に象徴される生活の変化の実状をつかみ、生徒の学習意欲を引き出す授業や学校の今後の取り組みの方向を検討すること。
 C府教委・市教委が、「特色ある学校づくり」の名のもとに高校制度改編(学校間格差をさらに広げる方向)を新たに進めている中で、高校生自身は高校の制度や教育内容、日々の学校生活についてどのような意見を持っているのか。この3年間、高校問題研究会ではさまざまな高校生の意見発表・交流の場を設けてきたが、今後さらに多くの高校生の意見を聞き、ともに議論をすすめること。高校入試の当事者である中学生や、高校生活を経験した大学生などの参加を増やすことも課題である。
 
  高校「多様化」が強められ、中学生の進路選択に矛盾が拡大している。高校教育だけでなく小・中・高校を通した教育全体を考えていくこと、懇談会に高校だけでなく小・中学校の保護者・教職員の参加を呼びかけていくこと(高校の保護者、現場の教職員の参加を高めることも大きな課題)が求められる。
  また組織面でも、研究会の事務局体制をさらに強化し、高校教育懇談会や学習会の企画の充実を図りつつ、会員拡大にも取り組んでいきたい。


 
研究会の体制

 
 ・代表 臼井照代(京都教育センター)
 ・事務局長 磯崎三郎
 ・事務局 佐古田博、向仲裕哉、竹脇隆、島田茂生、吉田功
 ・会員(2004年12月現在、会員数34名) 名前 略

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