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京都教育センター 高校問題研究会2003年度総括と2004年度方針


2003年度の取り組みの報告


 今年度は、京都府教委・市教委が公立高校の「多様化」「特色づくり」の方向を、洛北・西京高校の中高一貫校設置や山城通学圏統合による通学圏拡大・受験機会複 数化(いずれも2004年度入試から)などによりさらに進めようとしている中で、分科会テーマを「うちの学校のここが好き、ここがキライ」とし、各校で様々な活 動をしている高校生や卒業生が意見発表・報告をし、参加した高校生・大学生・保護者・教職員を含めて討論を行った。

意見発表した高校生・卒業生が11校・22名(司会の卒業生3名を含む)と今までの分科会で一番多く、活発な討論ができた。 分科会での発表・討論を通じて明らかになった内容をまとめておきたい。

 @多くの公立高校で、大学進学の「学力」が重視され、「授業時数確保」のため学校行事の「精選」が進められているが、生徒会役員などが努力して学校に要求をぶつけ、思った以上に学校行事で生徒の力が発揮されている学校が多いことが明らかになった。(文化祭・体育祭・球技大会など)

  A制服・自由服のどちらがよいかについて意見交換ができた。それぞれよい点はあるが、「自由服が制服で、学校生活の一部として服も自分で考えるのが基本」というM高校の考え方が印象的だった。携帯電話・服装・遅刻の指導では、学校により基準はさまざまだが、厳しい学校の例も出された。

  B高校生は授業に対しどのような要求を持ち、その要求実現・授業改善をどのように進めているかについても議論がされた。ここでは、生徒会がアンケートで集約した生徒の要求を要望書にまとめ、生徒大会で先生側の回答・議論を行っているS高校の例が報告された。討論では、授業改善が進んだ例のほか、先生の教え方で理解度が違うことや要求しても教え方が変わらないことへの不満、生徒にやる気を出させる授業の工夫をという要求が出された。また、補習や7限、学習合宿を一部の生徒(U類など)だけに強制することへの疑問も出された。

 C学校行事・自主活動や校則・生活指導、授業への要求でも、生徒会の活動でも、生徒の声・要求を認めてもらえる学校とそうでない学校があることが明らかになった。学校行事を生徒中心に進め自主性を重んじている学校では、自由を守るための当然のルールを生徒に守らせる指導が行われていることも出された。生徒の希望を要求できる学校の生徒は、高校生活への満足感、自己肯定感も強い。 生徒の声が通る学校にしていくために、生徒会が生徒の要求をまとめ学校に要求すること、生徒と先生の信頼関係をつくることが大切なことが出された。(参加:35名)

1.一月以後の活動

 高校問題研究会会員独自の研究会(学習会)を
 
 2月28日(土)13:30から
  開催します。
(場所は京都教育会館内の京都府立高教組会議室)
 テーマは、「普通科『進学校』の実態と山城地域の新しい入試制度について」を予定しています。

2004年度の方針

  京都府教委は「在り方懇」まとめの政策化として、2003年3月に「府立高校改革推進計画」を決定した。この中では、「多様で柔軟な教育システム」として、総合学科増設や「新しいタイプの単位制高校」を打ち出し、また山城北・南通学圏の統合を明らかにした。その具体化として、2004年度入試では山城通学圏の統合と受験機会を複数化(前期・中期・後期)した入試が行われ、府立洛北高校・市立西京高校での中高一貫校がスタートされようとしている。これらは「学校選択」 の名の下に、地域の高校をつぶして一方にエリート校を作るものであり、また普通 科を減らして高校生に真の基礎学力をつける保障を狭めるものである。

  研究会の主な活動の目標として、次の4つの課題を挙げておきたい。

@府教委が「府立学校の在り方懇話会」まとめや「府立高校改革推進計画」に基づいて、高校の「多様化」「特色づくり」と学校の選択拡大をさらに進める制度改編を強行している中で、高校制度や入試のあり方、生徒の学習意欲を引き出す授業や学校のとりくみ等について、経験交流と検討を重ねること。

A日本と世界の現状・未来を考え平和をめざし、管理的な生徒指導に反対する取り組みを進め、学校運営に意見を反映させるなど権利を広げ自主活動を進める高校生の活動から大いに学び、今後の学校のありかたを考えること。

B“学びからの逃避”と言われる中での高校生の学力低下や学習実態、携帯電話等に象徴される生活の変化の実状をつかみ、今後の取り組みの方向を検討すること。

C府教委が、「特色ある学校づくり」の名のもとに高校制度改編(学校間格差をさらに広げる方向)を新たに進めている中で、高校生自身は高校の制度や教育内容、日々の学校生活についてどのような意見を持っているのか。

  この3年間、高校問題研究会ではさまざまな高校生の意見発表・交流の場を設けてきたが、今後さらに多くの高校生の意見を聞き、ともに議論をすすめること。高校入試の当事者である中学生や、高校生活を経験した大学生などの参加を増やすことも課題である。
 高校「多様化」が強められ、中学生の進路選択に矛盾が拡大している。高校教育だけでなく小・中・高校を通した教育全体を考えていくこと、懇談会に高校だけでなく小・中学校の保護者・教職員の参加を呼びかけていくこと(高校の保護者、現場の教職員の参加を高めることも大きな課題)が求められる。
 また組織面でも、研究会の事務局体制をさらに強化し、高校教育懇談会や学習会の企画の充実を図りつつ、会員拡大にも取り組んでいきたい。

3.研究会の体制

・代表 小林幸男(京都教育センター)

・事務局長 磯崎三郎  

・事務局  臼井照代、佐古田博、向仲裕哉、竹脇隆、島田茂生、吉田功

・会員(上記以外)(2004年1月現在、会員数32名)

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